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高性能のランニングシューズが乱立する中で、どれを手に取るかはランナーにとって悩ましい課題のひとつ。ランニングの強度や目標タイム、見た目のかっこよさなど数ある選択肢の中でASICS(アシックス)が着目したのは「ランナーの走り方」でした。

ストライド型、ピッチ型の走法に応じてそれぞれ設計したトップアスリート向けのランニングシューズ「METASPEED(メタスピード)」シリーズを3月31日からアシックスオンラインストアで先行発売。4月8日からは一部のアシックス直営店、全国のスポーツ用品店で順次発売されます。

ストライド型とピッチ型。その違いは?

そもそもストライドは歩幅、ピッチは一歩にかかる時間のこと。つまり、ストライド型とはスピードを上げるに従い、主に一歩の歩幅(ステップ長)が変化する走り方で、ピッチ型とはスピードを上げるに伴って、一歩の歩幅だけでなく足の回転数(ピッチ)も変化する走り方を指します。

長距離走における走行スピードは歩幅の長さ×足の回転数の式で求められますが、ASICSは独自の研究でストライド型では歩幅をより伸長させること、ピッチ型では歩幅の伸長に加え足の回転数を上げることが走速度向上に重要であることを突き止め、METASPEEDシリーズの設計に着手。

ストライド型とピッチ型の走法の違いに着目することで、ランナーが日頃のトレーニングで身に着けた走り方を維持しながらパフォーマンスを工場させるシューズを生み出しました。

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アシックススポーツ工学研究所が実施した予備実験では、従来のアシックストップアスリート向けランニングシューズとの比較し、どちらもフルマラソンの距離をゴールするために必要な歩数の1.2%以上少ない歩数でゴールできると推定されたとのこと。

どちらのシューズにもミッドソールの全面に採用されているのがFF BLAST TURBO(エフエフ ブラスト ターボ)という優れた反発性をもった軽量フォーム材。着地と同時に変形、圧縮し、素早く元の形状に戻ることで跳ね返るような感覚を得ることにより、ストライドを伸ばすことを可能にしています。

また、軽量のカーボンプレートをミッドソール内部に搭載し、足の動きを安定させ、効果的に身体を前方向へ推進。さらに、靴底前部にカーブをつけることで、走行時のエネルギー消費につながると言われる足首部の過度な屈曲を抑えて、少ないエネルギーで足を前に運べるようにしているのも特徴です。

これらの機能をベースにしながら、ストライド型に合わせたMETASPEED Sky、ピッチ型に合わせたMETASPEED EdgeはそれぞれFF BLAST TURBOの厚みや靴底前部につけたカーブの角度などが調整されているということです。

ストライド型向けMETASPEED Sky、ピッチ型向けMETASPEED Edge、それぞれの特徴

ストライド型のランナーが、ストライドをより伸ばし、少ない歩数でゴールできることを追求した構造設計によるMETASPEED SkyはFF BLAST TURBOが厚めになっており、かかと部から前部にかけて5mmの傾斜差をつけることで反発性ができる限り高められています。

靴底前部に厚みを持たせたカーブ形状に設計することでストライドを大きく伸ばせるようにしているのが大きな特徴と言えそうです。

METASPEED Sky 27,500円(税込)

一方、ピッチ型向けのMETASPEED EdgeはFF BLAST TURBOの厚みをMETASPEED Skyより抑えつつ、かかと部から前部にかけて8mmの傾斜差をつけることで反発性を高めつつ、ピッチがコントロールしやすくなっています。

靴底前部のカーブにゆるやかで流れるような設計を施すことにより、ストライドを伸ばしながらピッチもスムーズに上げられるので、ランナーがピッチを調節しながらストライドを伸ばし、少ない歩数でゴールできることを追求しています。

METASPEED Edge 27,500円(税込) ※6月4日発売

どちらもミッドソールの形状を横に張り出すような立体設計とすることでぐらつきやブレを抑制し、安定感のある接地感覚を実現しています。

靴底の底面には、さまざまな路面コンディションでも高いグリップ力を発揮するASICSGRIP(アシックスグリップ)を採用。アッパーは、100%リサイクルポリエステルを使用したエンジニアードメッシュが施されており、部位に応じて編み方や孔の大きさを変え通気性とサポート性を両立させているのもポイントです。

「簡単に履きこなせるかというと……」

ローンチ記念イベントに出席したプロランナーの川内優輝選手は、2月のびわ湖毎日マラソンで実に8年ぶりの自己ベスト更新を果たす2時間7分27秒でフィニッシュ。METASPEEDがトップレースの前線で戦えることをすでに証明しています。

一方で最新鋭のシューズへアジャストするためには2ヶ月の練習を経ており、「簡単に履きこなせるかというと、そうではない。工夫をした」とは川内選手の弁。しかしその恩恵は大きかったようで、課題であった前半のスピードに対応できるようになり、川内選手持ち前の粘りの後半がさらに活きることでの自己ベスト更新となった様子。

ASICSがこれまで培ってきたランニングシューズにおける高い技術を結集しつつ、ランナーの走り方に注目することで、シューズ選びに新しい価値基準をもたらしているMETASPEED。1秒でも速くフィニッシュしたいというアスリートにとって、自らの走法をさらなるパフォーマンス向上に結びつける勝負シューズとなりそうです。