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ニューバランスがフルマラソンで世界記録を狙うエリートランナーのために生み出したFuelCell RC Elite。ミッドソールに厚みを持たせ、アウトソールの安定感、そしてアッパーをニット素材へとアップデートしたFuelCell RC Elite v2が登場したことは既報の通り。この気鋭のカーボンプレート入りシューズをテストする幸運に恵まれました。そのインプレッションをレポート!

FuelCell RC Elite v2

今回、このシューズを試すのは、現在FKTチャレンジとして多摩川河川敷に特設されているTAMAGAWA FKT by RIVERSIDE MICRO RACEの1マイル(1.6km)コース。ニューバランスが公益財団法人 世田谷スポーツ振興財団と共催してStrava上でFKTを競えるようにしたもの。1.6kmという短い距離で自己ベストを出さんとするペースなら、サブ3エリートランナーのスピード域も出せるというところ。このシューズの一番狙いどころの履き方を試せるというわけです。

1.6kmのFKTセグメントが設置されるTAMAGAWA FKT by RIVERSIDE MICRO RACE
コースを監修したOTT西本さん

TAMAGAWA FKT by RIVERSIDE MICRO RACEを監修するOTTの西本さんが、改めてこのコースについて説明。コロナ禍にあってOTTのようなスモールレースから、さらに小規模なマイクロレースを着想したこと、そしてこの地が一般ランナーからオリンピアンまでが日常的に走っているという、世界でも稀有な場所であることが語られました。

意外な? 1.6kmの走り方のコツ

いざ1.6kmのTAMAGAWA FKT by RIVERSIDE MICRO RACEに挑戦するとなって、この日コーチを務める黒川さん、そして西本さんからは意外なアドバイスが。「最初はとにかくゆっくり入り、ラストで上げていく方が結果的に速い」。1.6kmと聞くと短いように感じますが、そんな距離の中にもペーシングが重要なのだという。事前に申告していた1kmのベストタイムから黒川コーチが算出した100mのペースは、23秒。実際にそのペースで練習してみるとかなりゆっくり感じるもの。そしてそのペースで終盤までこなしつつ、残り300mからペースを上げていければ理想とのこと。なるほど。

最後のペースアップの時の走り方を、黒川コーチが教えてくれました。手を手刀よろしくキレよく腰にかすめるように振って、足は空き缶を潰すようなイメージで腰から下ろすように心がける。パン!パン!と心地よい音とともに、ソールが反発する感覚で身体が前に進んでいく。これは面白い。

タイムを計るランのスタートはいつも緊張する。スタートしてからは、ちょっと余裕あるなというペースで中盤まで。それでもだんだんキツくなってきます。1.6kmの長さというものを痛感しつつ、早くラスト300mが来ないかと願うように淡々と走ります。クッション性のあるソールながらアウトソールとアッパーがしっかり支えているのでしょう、キロ4分ペースではブレる感覚はなし。そして残り300m。

すでに呼吸は辛いけれど、ここからはギアを一段上げペースアップ。先ほど習った走り方を試みる。もののなかなか先ほどのイメージと重ならない。どうやらここまでのランで臀部の筋力に余裕がなく、「空き缶を潰すように」踏み下ろせるほど足が上がらない。おまけに手の振りも疲れてしまって決まらない。最後はフォームなどどこへやら、がむしゃら走りでフィニッシュ。

TAMAGAWA FKT by RIVERSIDE MICRO RACEの達成を告げるStravaを見てみると、1kmも1マイルも自己ベストを更新していました。はじめゆっくりのペーシングと、反発力を推進力に変えてくれたシューズあってこその結果でしょう。もともと膝に痛みを抱えての出走でしたが、走り終えて痛むことはありませんでした。

願わくば、試走で習ったFuelCell RC Elite v2を活かす走り方を最後の300mでやってみたい。サブ3の世界が垣間見えて、ふつふつとこのシューズを履きこせるだけの脚力をつけたいとモチベーションが高まるのでした。TAMAGAWA FKT by RIVERSIDE MICRO RACEは6月14日まで、この1マイル特設コースでのStravaセグメントで競われるとのこと。近隣の方はぜひ、お見逃しなく!