世界で競うエリートランナーから市民ランナーまでを魅了し続ける〈ナイキ ヴェイパーフライ〉が3にアップデートし、イノヴェーションを感じさせるプロトカラーから販売が開始される。成熟するヴェイパーフライはどのように進化したのだろうか。
今回のアップデートにあたって、ナイキ ランニング シニア フットウェア プロダクト マネージャーのエリオット・ヒース氏に話を聞くことができた。かつて出雲駅伝を走った経験もあるエリートランナーだった彼から今回のポイントを挙げてもらった。
丸くして幅を持たせた前足部
前足部分に膨らみを持たせたミッドソールによって、安定感とライド感が増した。エリオット氏によれば、内側に体重をかけてもしっかりエネルギーリターンを得られるこの構造は、小さいけれど意味のある変更点だという。
4%の軽量化(メンズ10サイズの場合)
メンズ10サイズで8g、4%の軽量化を実現した。これはアウトソールを薄くしたことや、その構造の改良(必要ない部分は穴の開いた形状になっていることがわかるだろう)、ミッドソールのデザインの見直し(省略的デザイン)によって可能となった。その省略化は見た目にも反映され、ミッドソールサイドや足底分にカーボンプレートが露出していることからも伺える。
通気性と安定性を増したアッパー
アッパーも見直され、通気性と安定性が増している。通気性が必要な部分はメッシュの穴が大きく、安定性が必要な部分は目が細かくなっているのがわかるだろう。また、かかと部分のシーム(縫い目)が擦れないようにといった細かな配慮もなされている。
ランナーの声
大迫傑選手もこの〈ナイキ ヴェイパーフライ3〉を着用し、軽く感じるし、安定感が増したとポジティブなフィードバックをくれているという。さらに5kmからフルマラソンまでどんなタイプのアスリートも履くことができる汎用性の高いシューズに仕上がっているという評価をくれたようだ。
エリオット氏も「初めて出雲の一区を走った選手の時にこのシューズを履いて走りたかったです。ヴェイパーフライは完成度が高くなってきており、改善の余地が少なくなっているけれど、チームで一緒にこのシューズを開発できたことを誇りに思います」と語ってくれた。まさに細かな改善を繰り返した成熟したシューズといえるだろう。
そして今回のプロトカラーについても「ヴェイパーフライ3の“プロトタイプ”(試作品)カラーは、試作品を着用したアスリートや一般ランナーから得た重要なフィードバックをもとにイノベーションが生み出されていることから、今回も私たちの開発プロセスを象徴する色になっています」と話す。
このモデルには、ナイキ ランニングチームの商品開発の道のりを物語る特徴がある。ミッドソールに記された文字は、チームがテストしたフライニット アッパーの試作品の数「57」と、着用試験担当者の識別番号「20216-33」を意味しているそうだ。白いアッパーとソールを繋ぐ印象的なスウッシュは、2017年に行われたマラソン2時間切りへの挑戦であるBreaking2のイベントで着用された初代ヴェイパーフライにちなんだもの。
〈ナイキ ヴェイパーフライ 3 プロト〉は、3月中旬よりナイキメンバー限定で、NIKEアプリ、NIKE.COM、NIKE直営店で発売予定。その他のカラーも今後順次発売予定だ。