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夏場のランニングで最も頭を悩ませるのが暑さ。暑い中ランニングをして、気分が悪くなったり、手足がしびれたり、足を攣ったりした経験がありませんか? これらは主に熱中症の症状です。

熱中症。多くの人が知っている言葉だけど、その響きが少し曖昧でふわっとしているため、内容についてしっかり理解している人は意外と少ないのではないでしょうか? しかし、熱中症の怖いところは、知識や対策が不十分だと死亡事故にもつながることです。

ご近所ランであれば、暑さでバテたら切り上げてすぐに帰ったり、気温が少し下がって直射日光のない夜走るなんていうこともできるのですが、トレイルランニングのレースのような場合、物理的にも心理的にも途中で切り上げることが難しい状況があります。

今回のMARK GEARは暑い時期でのトレイルランニングを安全に楽しんでもらうために熱中症そのものを理解してもらう必要があると思い、【夏休みスペシャル】としてお送りします。

前編では熱中症とは何かを紐解き、後編ではトレイルランニングのレースのような長時間のレース時の対策をお勧めサプリメントとともに紹介していきます。

<< 前編 「熱中症を知ろう」まとめ >>
・夏場の運動は体温が上がりやすいため大量の発汗を伴う
・発汗によって体内の水分、電解質が失われることが熱中症の諸症状の原因
・運動時に起こりやすい症状は、足の攣り、めまい、大量の発汗、吐き気など
・対応は物理的な対応(首や体に水をかける、日陰で休むなど)と水分&電解質の補給
・水分補給、電解質補給が足りないと脱水症状になる
・水分補給をしすぎたり、電解質補給が足りないと低ナトリウム血症になる
・スポーツドリンクを飲んでいても低ナトリウム血症になる

そもそも熱中症とは何か?
まず、熱中症とは何か?

人間の体はその機能を維持するために常に体温を一定に保っています。この体温調節のメカニズムが高温や多湿によって追いつかなくなり起きるさまざまな障害、その総称を熱中症と言います。熱中症って言葉ではそのイメージがつかみにくいと思うんですが、それは熱中症自体が幾つかの機能障害の総称だからなんですね。

熱中症の症状は「熱虚脱」「熱けいれん」「熱疲労・熱射病」と大きく3つに分かれます。
(参照元)→http://health.goo.ne.jp/medical/data/270326000_23.html

次にスポーツ時に熱中症が起こるメカニズムを見ていきましょう。
※熱中症にはスポーツなどが原因の「労作性熱中症」と乳幼児や高齢者がかかりやすい「非労作性熱中症」とありますが、本記事では前者の「労作性熱中症」について考えています。

1)体温の上昇
高温多湿の環境下においては体の温度が上昇します。加えて、運動することによっても体は発熱します。つまり炎天下の運動によって僕たちの体温は非常に高くなります。

2)大量の発汗による水分・電解質の喪失
体が熱くなると汗をかきます。実は発汗は体が持つ体温調節機能。かいた汗が蒸発するときの気化熱で体温を下げているのです。炎天下の長時間にわたる運動は体の発熱と発汗のいたちごっこ。結果、大量に汗をかき、体内の水分と電解質が失われます。この水分と電解質の喪失が、運動時の熱中症の諸症状の原因となります。

3)発症
熱中症も重症度によって症状が異なってきます。以下に熱中症の重症度とそれに応じた症状を記しました。Ⅰ度までなら現場での対応が可能ですが、Ⅱ度は状況によっては医療機関での治療や点滴が必要とされていますので、症状を自覚した場合、十分に注意してレースの棄権も含めた慎重な対応をしましょう。Ⅲ度は緊急入院が必要な重篤な状態です。

Ⅰ度:熱虚脱・熱けいれん
(症状)めまい、顔面蒼白、一時的な失神、頭痛、吐き気、筋肉痛、手足の攣り
Ⅱ度:熱疲労
(症状)全身倦怠感、悪心・嘔吐、頭痛、集中力や判断力の低下
Ⅲ度:熱中症
(症状)汗をかかなくなる、体温上昇、意識障害

MARK GEAR

過去のハセツネ30k出場時の筆者。4月で非常に暑く、スピードレースのため大量に発汗。出し切ってタイムはよかったが、電解質補給をしなかったためゴール後に脱水症状。嘔吐が止まらなくなった。

熱中症の予防と対応
熱中症の発症するメカニズムとその症状を見てみました。主に、みなさんが炎天下のレースやランニングで感じたことがあるのが、めまい、吐き気、筋肉痛、手足の攣りなどⅠ度の症状かと思います。しかし、予防や対応を誤るとⅡ度、Ⅲ度と進行し危険度が増していきます。

ではどのように予防・対応するのがいいのでしょうか?

大きく分けて物理的な体の冷却と補給の二つの方法があります。
※主にⅠ度までの対応です。Ⅱ度の自覚症状があったり、自分で水分・塩分を摂れなければすぐに医療機関を受診してください。

1)物理的な体の冷却
体温が上がっているわけなので、物理的に冷やしてあげましょう。首筋、脇の下、両足の付け根などの太い血管のある場所を冷やしてあげるのが効果的です。僕は炎天下のレースでは自覚症状が出る前に、必ずエイドごとに首の後ろに水をかけるようにしています(海外のロングレースではバンダナに氷を詰めて走る選手もとても多く見られます)。また、日陰や風通しのいい涼しい場所での休憩も効果的です。

2)失った水分・電解質の補給
体が失った水分、電解質の補給をしてあげましょう。水分の補給が足りないと、脱水症状になります。熱中症Ⅱ度の症状は脱水症状に起因するものが多く、水分補給は熱中症対策の一番のポイントです。一度にがぶ飲みするのではなく、こまめ、少なめがよいです。そのため、ハイドレーションパックやソフトフラスクのように、飲みたい時に少量をすぐ飲めるようなものがお勧めです。

ただし、ただ水だけを飲んでいればいいわけでもありません。失われた汗にはナトリウムをはじめとする電解質が含まれています。このため、摂取するのがただの水の場合、適量の水分摂取であっても体内のナトリウム濃度が低下して、低ナトリウム血症が起こります。また、水分の過剰摂取によっても低ナトリウム血症は起こります。筋肉痛、手足の攣りなど、みなさんが炎天下のレースでもっとも感じる症状は、熱中症Ⅰ度、熱けいれんの症状で、この低ナトリウム血症が進行することによって起こります。

なお、低ナトリウム血症は、マラソンやハイキング、アメフトなどにおいて死亡の報告もあり、こちらも甘くみてはいけません。

まとめると、炎天下のスポーツにおいて水は飲まなすぎても飲みすぎてもダメ。熱中症対策の正しい水分補給は「水分+電解質の適量摂取」となります。

MARK GEAR

UTMB出場時の筆者。2015年はとても暑かった。最後のモンテ峠がやはり日を遮るものが何もない登りが延々とつづきフラフラになり、途中でやっと見つけた日陰で休んで何とか回復した。

正しい水分補給とは?
飲まなすぎてもダメ。飲みすぎてもダメ。中々難しいですね…。それでは、どれだけの水分量・電解質量を摂るのが正しい水分補給なのでしょうか?

結論から言うと、残念ながら何mlの水分、何gの電解質という正解はありません。

発汗量はそもそも個人差があるものですが、更に同じ個人であっても、気温、湿度、運動強度、体調などによって発汗量は変わってきます。同じく、失われる電解質量も個人によって変わってきますので、一概に数字で示すことは難しいのです。

ただし、悲観することはありません。体には実はとても優秀なアラームが付いています。それが「喉の渇き」です。

近年、具体的な水分補給量の目安として、客観的な数値より、むしろ「喉の渇き」に応じて水を飲む方法が推奨されています。最近の研究からも、長距離走、100km ウルトラマラソンあるいは 4 時間に及ぶ軍事訓練中の水分補給について「喉の渇きに応じた」自由飲水が過剰な脱水を防ぐとともに水分の過剰摂取をも防いでいることが明らかにされています。

実は、喉の渇きを感じた段階で2%ほどの脱水状態であるのですが、 2007年全米スポーツ医学会は、低ナトリウム血症を予防する目的で、適切な飲水量をこれまでの発汗相当量から体重2%以内の脱水を許容する内容に改めました。すなわち2%程度の脱水であれば、人体の生理的機能や競技成績は損なわれない、というのが今日の科学的見解です。

とはいえ、軽く脱水するまで水分を摂らないのが不安という方もいると思います。その場合は、先ほども書いた、こまめ・少なめを意識しましょう。くれぐれも、脱水をおそれるあまり水分の過剰摂取とならないように。

なお、自分の発汗量の目安を知りたい方は、一定の温度や心拍数下での1時間走を行いましょう。その運動前後の体重差が発汗量の目安となります(0.5kg減なら約500mlの発汗)。

スポーツドリンクを飲んでいれば大丈夫?
次は摂取すべき電解質について。電解質の補給っていうとスポーツドリンクをイメージする方も多いと思いますので、まずはスポーツドリンクを基準に考えてみましょう。

臨床スポーツ医学の専門誌に2015年に掲載された、低ナトリウム血症に関する専門家の合意声明では、スポーツ飲料について「一般的なスポーツ飲料のナトリウム濃度は10~38mEq/Lで、水よりは高いが、正常な血液の濃度(136mEq/L以上)より浸透圧が低く、飲み過ぎたら血液中のナトリウム濃度を維持できない」と説明しています。

つまり、わかりやすく言うと、スポーツドリンクを飲んでいても、ランニング時の足の攣りが防げない時があるということです。僕もスポーツドリンク飲んでいても足がつったことは何度もあります(笑)。

スポーツドリンクで気をつけなければいけない点もう一つあります。それは大量の糖分が含まれるということです。それゆえ、喉の渇きをスポーツドリンクで補おうとすると血糖値が上がります。喉の渇きは高血糖によっても引き起こされるので、更にスポーツドリンクを飲んでしまい、水の取りすぎや高血糖を招くという悪循環に陥ります。レースに出ている場合だとジェルなどでも糖質を補給していますし、水分にはあまり糖質が含まれない方がいいかもしれません。

前編はここまで。

熱中症については、なんとなくわかった。でも、スポーツドリンクでも低ナトリウム血症になるなら、補給はどうしたらいいの? そう思った方も多いかもしれません。

後編では、前編を踏まえて、熱中症対策の補給とサプリメントの紹介をします。

「熱中症ってどう対応すればいいの? 〜夏場のランニング時の予防と対策〜」(前編)
「熱中症ってどう対応すればいいの? 〜夏場のランニング時の予防と対策〜」(後編)

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