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「鯵(アジ)」は通年おいしく食べられる魚だが、初夏にあたる今がもっとも身に脂がのる。漢字のつくり“参”は、旧暦の3月(太陽暦の5月)が由来ともいわれる。「アジは味なり、その美なるものをいう」とは、江戸時代の朱子学者である新井白石が、「鯵」のおいしさについて説いた言葉。高タンパク・低脂肪・低カロリーの3拍子がそろうほか、血行を改善したり脳・神経を健やかに保つEPAやDHAも豊富なヘルシーさも魅力だ。

脂がのった「鯵」は、旨みをギュッと閉じ込めた「干物」で味わいたい。開いた状態で全体が丸みをおびていて、腹の部分や背骨まわりが白っぽいものは、脂がのっており質のいいものである。全体が黒っぽくて身から骨が浮いているものは、身が痩せたものなので避けたい。

干物は、家庭でも簡単に作ることができる。まずは開いた状態の鯵から、使わない歯ブラシなどを使って血合いを取り除き、水で洗い流して下処理を。次に8%の塩水に30分ほど漬けたら、水分や臭みを取る市販の干物専用のシートにのせて数時間干す。天日干しにしたり風乾しにしたりと調整しながら干すのもポイント。または定食屋に行ったときに“鯵フライ”を見つけたら、今の時期は進んで選び、旬の味を堪能したい。