ランニング初心者のために「走り続ける」ためのティップスをご紹介。まずは20分でいい。辛くなく、楽に走れる自分のペースを探ってみよう。やがて距離が伸び、もっと走りたいと思えるようになるはずだ。
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適正なペースを理解するとランニングが続けられるようになる
これからランニングを始めようという人、もしくは始めたばかりという人へ。初心者にとって大切なことは「自分のペースをつかむこと」だと断言しよう。自分のペースとは、「無理なく走り続けられる」ペースのこと。初めて走るという人がやみくもに走れば、10分も経たないうちに息が上がって心臓はバクバクし、身体が悲鳴をあげるはずだ。そんな時に参考にしたいのが、「主観的運動強度(RPE)」。
下の表を参考にしてほしい。初心者なら「楽に感じる」あたりを狙う。この「楽に感じる」ペース、一般的には「会話を続けながら走れるペース」と言われるが、自分が思っている以上にスローペース。「もしかしたら歩く速度と変わらない?」と感じるペースで十分だ。「もう少し続けてみようかな」と思えるよう、20分間動き続けて辛くなく感じるペースを探ってみよう。
「楽に感じる」ペースで走ることは、ランニングに必要な基礎体力をつけてくれる。心筋を発達させ、全身に酸素をめぐらせるための微細な血管(毛細血管)の生成を促すという効果もある。つまり、「きつい運動をしている」という自覚なしに、ランニング向きの身体づくりが行えるというわけだ。加えて、目標とする時間を走り続けることができると、自分に自信を持つことができる。
ゆっくり走ることで得られるのは、フィジカルな効能ばかりではない。さまざまな楽しみを見出すことだって可能だ。新しくできたコーヒースタンドを見つけたり、普段は目にも留めないような、道端に咲く野の花に癒されたり。走る速度によって見える景色は変わってくる。ゆっくり走れば視界から得られる情報はより多くなる。周囲の環境に敏感になることは、身体の感覚に敏感になることでもある。
音や景色、匂い、足の裏から伝わる路面の状況、呼吸や体温の変化、発汗など身体の中で生じている微細な変化……。感覚の全てに意識を向けられることは、ゆっくり走ることの醍醐味でもある。がむしゃらに走ることでは決して得られない、繊細な感覚から始まる新しい風景を楽しんでみよう。
一歩踏み込んで、より客観的に自分の適正ペースを探りたい、適正ペースを守って走りたいという場合は、心拍数を活用するという方法がある。その方法は下欄を参照に。
最大心拍数の算出方法
はじめに、心拍数とは心臓が1分間に“ドックン”する回数のことを言う。安静時から全力で運動を行う時まで、運動強度に比例して直線的に増加する(ただし、運動強度が高度域になると変化がなくなる)のだが個人差が大きいということを理解しておこう。
その人が発揮できる最大の心拍数を最大心拍数といい、「220-年齢」というシンプルな数式が基準になる。運動中に心拍数をモニターすると、最大心拍数に対してどの程度のパーセンテージで運動しているかを計測でき、そこから運動強度を求めることができる。
より正確な値を知るなら、疲労困憊するような運動、例えばきつい坂道のダッシュを6~8本繰り返し、それぞれの運動の直後に心拍数を測る。この時、等速ではなく、流しくらいのスピードから始めて全力ダッシュに至るまで少しずつペースを上げていくように。こうして計測できた、もっとも高かった心拍数を最大心拍数とみなす。
ちなみに、同じ心拍数を計測しても、その数値が表す意味は人、もしくは状況によって異なる。例えば、最大心拍数が200のランナーと160のランナーがいるとしよう。同じ心拍数130のペースでも、前者は余裕を持って走っているのに対し、後者は限界に近いペースで走っていることになる。ちなみにHRmaxのHRとはHeart Rateの略。心拍数をBPMと表すが、これはBeats Per Minuteの略だ。