ヒトの身体は約60%を水分が占めており、なかでも骨格筋に含まれる水分量は約80%ととりわけ多い。つまり、水分補給は熱中症対策に留まらず、良質な筋肉や関節を維持するうえでも必要不可欠というわけだ。
発汗量の多いランナーは体内の水分が不足しやすく、それがパフォーマンス低下に直結することもある。実際に、2%以上の水分が失われると持久力が低下するという報告もされている。何となく身体が重い、キレが悪い、タイムが伸びない、疲れが取れないといった感覚があるときは、水分補給を見直してみよう。
「汗をかいて体内の水分が減ると虚血状態になる。すると内臓に血液が行き渡りにくくなり、胃腸トラブルの発生リスクが高まります。また、心臓の1回拍出量が減り、反対に心拍数が増える。これは心臓に負担がかかるということです。汗のかかない冬場でも呼気のみで1日に350~400gの水分が減っているので、水分摂取はいつなんどきも意識すべき。身体から出ていった分を補う形で水分を摂取するよう心がけましょう」
脱水を防ぐには、日頃から運動時の発汗量を測定し、どの程度の水分を補給するべきか把握しておく必要がある。もっとも簡単に発汗量を推定する方法は、ランニング前後の体重測定だ。運動後に500g体重が減っていればそれがおおよその脱水量であり、500g+運動中に補給した水分量=発汗量となる。
「単に走った距離や時間だけでなく、気温、湿度、疲労度によっても発汗量が異なるため、体重とともに記録しておきましょう。もしも運動後に体重が増えていたらそれは飲みすぎと考えられます」