日本人2人目のトリプルクラウナー(3つのアメリカ縦断トレイルを踏破した人に与えられる称号)でもある斉藤正史さんは、時には数ヶ月にもおよぶ期間を山中で過ごすスルーハイカー。その道具立ては、通常の登山にも活かせそうな、日常を快適にするための工夫が詰まっていた。
かさばる寝袋はできるかぎり圧縮
寝袋はコンプレッションバッグに入れて、バックパック内での荷物の圧迫をできるかぎり低減する。快眠できるかは、スルーハイクにとってはかなり重要なポイントなので、シルクのシーツと空気で膨らませる枕も持参。設営の時間短縮のために、寝袋と一緒に収納している。
出番の多い一眼レフは外付け
斉藤さんにとって、写真撮影はスルーハイクでの大きな楽しみのひとつ。カメラは、別ケースでヒップベルトに装着している。すぐに取り出せるし、バックパック内の省スペース化にも役立つ。よほどの豪雨にならないかぎりは、レインカバーを装着して対応している。
寝るという行為をできるだけ快適に
寝具系に関してはできるだけ清潔に保つというのが、斉藤さん流のスルーハイク快適法。容量の関係でバックパック下部のベルトで外付けしているマットは、自作のカバーで保護している。これによってバックパックが自立しやすくなるというメリットもある。
ボトルは持たずサイドポケット有効活用
トレイルでの行動中の水分補給はバックパック内に収納した3L入りのハイドレーションバッグでおこなう。効果的に荷重が分散できるし、ウォーターボトルが不要になる。本来ボトルを入れるためのサイドポケットには、釣り竿や三脚などの長尺物を収納している。
収納順は使用頻度に準ずるべし
大量の荷物を持ち込むスルーハイクでは、荷物の出し入れはできるだけスムーズに行いたい。斉藤さんはテント場で使うものと、トレイル上で使うものを分けて収納。テント場で使うものは下部へ、頻繁に取り出すものは上部に。これによって重量バランスも取れる。
小分け収納でデッドスペースを解消
スルーハイクの時に、もっともスペースを取るのが、食糧と衣類。これをうまく収めるために、それぞれを2つのスタッフサックに小分けしている。これを隙間を埋めるように収納することで、バックパック内のデッドスペースをかなり減らすことができるのだ。
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