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先日公開したRe.Ra.Ku PRO(リラク プロ)に続き、2月にSALOMON JOGLIS(サロモン ジョグリス)プロジェクトをスタートしたJOGLISに取材を敢行。“TIME TO PLAY”をコンセプトとするSALOMONのパワーが詰まったスポットになりそうです。

2009年の発足以降、ランステの草分け的存在として愛され続けてきたJOGLISが2021年新たな皇居ランナーに向けた取り組みとしてSALOMON JOGLISプロジェクトをスタートしました。なぜSALOMONとなのか? 2社が手を組む真意とは? 両者の思惑に触れながら、SALOMON JOGLISとして目指す方向性を伺いました。

「平日皇居、週末アウトドア」への誘導

onyourmark(以下OYM):今回SALOMON JOGLISプロジェクトを始めることになったわけですが、いつからこの話は進行していたのでしょうか?

石田道寛(SALOMON マーケティングディレクター):話が具体的になったのは昨年の1月頃です。以前JOGLISを運営するメディアコミュニケーションズさんとお仕事する機会があり、その時に相談させていただいたのが始まりでした。

SALOMON(サロモン)のアイデンティティは、ギアに触れ、スポーツをプレイし、ライフスタイルを豊かすることが根幹にあります。スキーやスノーボードであれば野沢温泉や札幌など全国16カ所にあるSALOMON STATION(サロモン・ステーション)、トレイルランニングであれば高尾のMt.TAKAO BASE CAMP(高尾ベース)のように、それぞれのフィールドに施設を用意することは日本はもとよりグローバルで力を入れていることなんです。

デジタル化が進むことで「より『体感』できる環境の重要度が増す」と話すSALOMON マーケティングディレクターの石田さん。

ロードランニング部門の強化に数年前から取り組み始めてから、ランステ事業への参入も考えていました。過去にはRun Pitさんで試し履き用シューズを置かせていただいたこともありましたが、より深く入り込んでできる環境を模索した結果、JOGLISさんとの本プロジェクトへ結びつきました。

相澤南(メディアコミュニケーションズ PR):2年前に長らく提携していたASICSさんとの契約終了後、JOGLISは過去にも様々なメーカーさんとご一緒してきました。

決まったブランドのイメージを付けずに幅広く紹介できることの魅力も感じていましたが、SALOMONさんとお話をして、ブランディングの強化と、JOGLISとしてのオリジナリティを膨らませることができると考え、本プロジェクトのスタートに至りました。

OYM:具体的に、それぞれどういったところにメリットを感じたのでしょうか?

石田:ランナーの聖地である皇居を間近にしたJOGLISには自然とランナーが集まるイメージがありましたし、そこで私たちのプロダクトを紹介できるのはメリットでしかなかったですね。実際に体感してもらうことが一番大事なことだと思っていますから。

中島陸(SALOMON JOGLIS 店長):短期的なプロモーション展開ではなく、長期プロジェクトとして、SALOMONの認知向上とともにプロダクトのクオリティを理解してもらうことで、ユーザーの方に「安心感」を与えることができると考えています。

相澤:アウトドアにおける信頼度が絶対的に高いブランドなので、新しいお客さんを呼ぶ導線になると考えています。反対に皇居ランを生活の中心にされている方にSALOMONの存在を知ってもらい、アウトドアへ誘導することも、私たちのオリジナリティになると期待しています。

JOGLIS時代から運営に携わる相澤さんと中島さん。ともに「皇居を利用するアーバンランナーにSALOMONの存在を知ってもらい、世界を広げてもらいたい」と話す。

石田:以前からJOGLISを利用されている方々をアウトドアへ誘導することは、SALOMONのひとつのミッションだと考えています。

週末にトレイルランニングやスキーなどをやられている方も普段は皇居や、自宅近所の公園で走られていることが多い。その延長線上で「平日はJOGLISで皇居RUN、週末はアウトドア」をライフスタイルに定着させる提案をしていきたいと思います。SALOMON STATIONやMt.TAKAO BASE CAMPと連携した企画を考えていきたいですね。

普段から皇居を走る方なら、アウトドアスポーツを楽しむ体力は備わっているはずですから、トレイルランやスキー、スノボ、そのほかのアウトドアアクティビティに触れてもらいたいですね。

OYM:SALOMON JOGLISとして目指す方向性は以前と比べて大きく変わりますか?

相澤:大きく変更するようなことはなく、新たに肉付けしていくようなイメージです。今まで以上に多くのトレイルランナーに、また、アウトドアフィールドを遊び場にしている人たちに、「皇居ランをするならJOGLIS」というメッセージを発信し、利用しやすい環境を用意したいと考えています。イベントを通したアプローチを今後活性化させる予定です。

石田:ベースはこれまでのJOGLISを活かし、SALOMONなりの付加価値をつけていくことが相乗効果を生む鍵だと考えています。相澤さんが先ほど話したように、都市生活を送る人と、アウトドアマンの接点となる場所は他にないので、大事に考えていきたいことですね。とはいえ我々としてはまずはSALOMONについての理解を深めてもらうことがスタートです。

「体感」を再確認するためのアナログコンテンツ

OYM:イベントのお話がありましたが、具体的に今後予定しているものはありますか?

石田:人を呼んでイベントを行うアイデアはいくつもありますが、新型コロナウイルスの影響もあり、今は「個人で、かつ継続して楽しめること」に焦点を当てたコンテンツを考えています。ホームページではすでに発表していますが、そのひとつが「100 LAPS RUNNING CHALLENGE」。昔ながらのスタンプラリーのようなもので、皇居1周にあたる5kmを走るごとにスタンプをひとつ貯めて100周達成するチャレンジです。

100 LAPS RUNNING CHALLENGEのスタンプカード。10Laps毎に嬉しいサービス権獲得も。

大会が制限されている現在の環境では、コツコツとひとりで頑張ることに意味を持たせること、自分自身でモチベーションを高める要素が必要だと考えていました。そこで小学生の頃のラジオ体操で、一回参加するごとにスタンプを押してもらうのが嬉しかったことを思い出したんです。

今はアプリで距離も時間も消費カロリーも管理できるような時代ですが、ランニングはフィジカルな行為ですし、スタンプを貯めるのはデジタルにはない「証」を手にしたような魅力があります。SALOMON JOGLISに足を運んでもらう狙いも込めた企画ですね。

相澤:同日にここに来て時計やアプリで5km走ったことを証明していただければ、走る場所は皇居に限らずどこでも構いません。ただ、SALOMON JOGLISに来ていただかないとスタンプが貯められないことにしています。「体を動かす」動機として、デジタルでは感じ取れないことを重要視して決めました。

OYM:SALOMON JOGLISになってからお客さんの反応に変化はありますか?

中島:以前はキーカラーが水色でしたが、SALOMON JOGLISのプロジェクトのスタートとともに、現在のSALOMONさんのモノトーンを基調としたロゴに変更しました。利用者はもちろん、近くを歩いている人からも「イメージが変わった」という反応は多いです。以前に比べアパレル、シューズともにレンタルギアを充実させたのと同時に、ハンドボトルやソフトフラスクなど走る際に便利なグッズの販売も強化しました。新しいプロダクトへ興味を示してくれている印象も強いですね。

上:レンタルシューズはサイズ、バリエーションともに豊富に用意。先日発表されたSONIC 4シリーズもレンタル開始予定。下:販売品はソックスやグローブなど「忘れ物」を想定したものを中心に、ウェストバッグやソフトフラスクなどのプロダクトも揃える。

相澤:SNSを見ると、イメージが変わったことを好意的に受け止めてくれている反応が多いので、少しずつSALOMON JOGLISとして認知されている感覚があります。SALOMONはこれまでのロードランニングカルチャーにはないスタイリッシュな雰囲気を持ったブランドですので、既存のユーザーの方には特に新鮮に映っているようです。

新型コロナウイルスの影響でビールの提供やカフェスペースの利用をやめ、走ること以外のサービスを簡素化している状況ですが、有難いことに新規ユーザーは増えています。

100 LAPS RUNNING CHALLENGEのように、今後も新しい方が続けやすいコンテンツを充実させていきたいと考えています。「走ること」だけでは、いずれ飽きてしまうことがこれまでの経験でわかっているので、私たちの原点である「常にモチベーションになること」「新しい情報を発信し続けること」を重要視し、ランナーをサポートしていきたいと思っています。

中島:仕事場に近かったり口コミで来ていただく方が多いのが現状です。無理に新しく抱え込むというよりは、そうしたライフスタイルの一部にランニングを加えた人に対して、継続してもらえる提案をしていきたいですね。

ランナーとの物理的距離を埋める音声コンテンツ

OYM:無料のオーディオスマホアプリAuDee(オーディー)のランナー向けのコンテンツとしてランナーを応援する『JOGLIS RUNNER’S VOICE』(ジョグリス ランナーズボイス)も始まっています。ランナーの間ではPodcastリスナーも増えていますし、最近ではClubhouseのようなサービスもありますが、音声コンテンツを使う狙いを教えてください。

相澤:先ほど新規ユーザーは増えているとお話ししましたが、コロナ禍ということもあり、2020年の利用率は例年に比べ下がりました。この環境下では仕方のないことですが、今までの店舗ありきの取り組みだけでなく、何かしら新しい形での発信をしていかなくてはと試行錯誤しております。

そんな中で、私たちの温度感を離れた場所にいる方へ伝える方法として音声コンテンツは最も適したツールだと思い始めたんです。

パーソナリティを務めるソナーポケットのボーカルeyeronさんはアーティストでありながら、フルマラソンを2時間43分45秒で走りきる実力者で、ランナーの悩みや今のトレンドも深く理解されています。私たちが伝えたいことを的確に表現してくれていると感じているので、今後も継続して発展させていきたいですね。

SALOMONの新商品発表をエクスクルーシブな形で行なったり、eyeronさんにレビューをしてもらったり、オンラインイベントの開催も視野に入れて進めていきます。

OYM:最後に、コロナ禍の現在、そして未来のランステに求められるのはどのようなことだと考えていますか?

相澤:1人で走るのが好きな方たちでも、誰かと繋がりたい気持ちは皆さん持っているんですね。今は1人で走ることが多くなっていますし、目に見えなくても繋がることができるコンテンツは求められると感じています。リアルとオンラインを掛け算したサービスが必要になるのではないでしょうか。

リアル店舗としてSALOMON JOGLISでお客さんと触れ合いの場を持ちつつ、地方に住まわれているランナーでAuDeeを聞いている方が、東京に来た時にはJOGLISをベースにするのが自然になるような、複合的なサービスの提案をしていきたいですね。

石田:今はどんな情報もデジタルですぐにキャッチできる時代です。デジタル化の進行は止まらないと思いますが、それと反比例するように「体感」の重要度が増していくのではないでしょうか。

僕らもネットサーフィンしただけでプロダクトを理解したつもりになってしまうところがあります。でも実際に触れてみると違うことって往々にしてありますよね。SALOMON JOGLISは「プロダクトを試せる場」という側面もポイントにしています。

どのメーカーもイノベーションの進歩は著しいですから、今後こうしたテクノロジーに触れる場の需要は高まるはず。SALOMON JOGLISでは先を行くサービスを常に用意していきたいですね。

あとがき
2007年の東京マラソン初開催をきっかけに、市民ランナーのニーズの高まりから生まれたランニングステーション。当初は荷物が預けられ、着替えができて、シャワーでリフレッシュできる場所であること、また、ランニングスポットへの利便性にランナーはメリットを見出していました。

あれから14年、GPSデバイスの充実やバーチャルコンテンツの多様化が進み、ランナーの「ランニングの起点」は生活に身近な場所に移り始めています。ランステはその生活様式の変化に対応できるのか。今回の取材の焦点はそこにありましたが、Re.Ra.Ku.プロ、SALOMON JOGLISはともにその突破口を見つけているようです。

しかし、コンテンツ面ではまだ追いついていないのも事実。「身体を動かすこと」をコンセプトとするSALOMON JOGLISが次にどんなコンテンツ施策を打ち出すのか。単なる「場所」以上の価値を提供できるかが、2021年のランニングステーションには問われます。今後の発信にも要注目です。

現在は期間限定でサロモン初のロードレース向けシューズ、S/LAB PHANTASM(エスラボ ファンタズム)もレンタル中(2/28まで)。

SALOMON JOGLIS
住所:東京都千代田区麹町1-7 FM センター地下1F
TEL:03-3221-6100
営業時間:7:00〜14:00/16:00~22:00 ※最終入店20:00(月〜金)
7:00〜18:00※最終入店17:00(土・日・祝)
※緊急事態宣言の状況次第で営業体制変更あり。最新の情報はホームページを参照
施設利用料:ビジター利用750円(シャワー・ロッカー利用)
※別途、会員登録料550円
レンタルサービス:シューズ 無料、ジャケット・シャツ・パンツ・タイツ 各¥200
※フルセット¥500、上下(シャツとパンツ)セット¥300

SALOMON JOGLISオフィシャルサイト:www.joglis.jp