まもなく2021年も折り返し地点。今年の前半は昨年に引き続き新型コロナウイルスによって活動が色々制限されましたが、後半はどうなるでしょうか?
UTMFをはじめ、大きなトレイルランニングレースが軒並み中止となった前半に比べて、後半はレース自体は色々開催されそうな気配があります。先日は9月に開催される信越五岳のエントリーが行われ、1,000人を超える定員の受付が数分で終了。トレイルランナーのロングレースへの期待がとても高まっていることをうかがわせました。
ということで今回はロングトレイルの強い味方になってくれる、美味しくて軽くてエネルギーが長持ちする補給食、Trail Butter(トレイルバター)を紹介しようと思います。
Trail Butter自体は実は4年前の日本上陸時にもMARK GEARで紹介しているんですが、その時から製品のバリエーションも増えて更に新たなファンを増やしてもいるんで、そういうことについても書いていきますね。

Index
Trail Butter誕生秘話
まず、Trail Butterとは何か?ということについて改めて説明します。
Trail Butterはナッツバターとココナッツオイルをブレンドしたアメリカ・ポートランド発祥のアウトドア補給食です。
ファウンダーのJeff Boggesがドイツからポートランドまで14,000kmの自転車旅行をする際に、食料のナッツやハチミツ、ベリーなどの食材をコンテナに混ぜてひとつにし荷物を減らそうというアイデアの中で生まれました(きっかけは、共に旅をしていたガールフレンドと道中で破局したことだそうです)。
そして、このミックスした食べ物が、想像以上に美味しく、ナチュラルかつエネルギーも豊富で旅を心身ともに支えてくれたことから、その後の2012年に製品化されました。

Trail Butterの特徴
1)オールナチュラル、グルテンフリー
Trail Butterは天然由来の原材料のみを使用しているので、単なるエネルギー補給ではなく素材の味を美味しく楽しめるのが特徴。ロングトレイルで胃腸が弱っていても食べることができます。ちなみに、試食会を行うと食べた人のリアクションで一番多いのが「美味しい!!」です。
2018年のTJARでは、無補給で(=途中に食料や装備のデポジットをせず、スタートからすべての装備を持って)415kmを完走した望月将悟さんが補給食の一つにTrail Butterをチョイス。最後まで食べることができたと太鼓判を押しています。

トレイルランのレースではジェルを持っていくことが多いのですが、(TJARは)それよりもゆっくりのペースなので、脂質が中心というのはいいんじゃないかと。4.5ozサイズのものを4つほど持っていって、実際に全部食べ切りましたよ。とくにTJARでは最後にロードの区間が85kmほどあるのですが、そこはこれ1本で行きました。ジェルだと終盤は食べたくなくなって、補給がおろそかになってしまい、からだが動かなくなりがちなのですが、胸ポケットに入れたトレイルバターは最後まで食べられました。それから、ジェルの場合は一度開封したらその包装分を食べきるのが普通ですけど、これはチュッとやっちゃあチュッとやってと、チビチビできるのもいいですね。最後にスミの方に残ってしまうので絞り出すことになりますが、それもまぁ、気分転換にいい(笑)
引用元URL trailbutter.jp/news/631/
また、Trail Butterは全商品グルテンフリーで、一部のフレーバー(MAPLE&SEA SALT)はヴィーガン対応です。
2)脂質をメインとしたエナジーフード
アウトドア補給食の多くが糖質をベースとしているのに対して、Trail Butterは中鎖脂肪酸を多く含むココナッツオイルが主原料。つまり脂質をベースとするエナジーフードです。脂質は糖質と比べると摂取してからエネルギーになるまでのスピードは落ちますが、腹持ちがよく摂取したエネルギーが糖質より長く持続するのが特徴。長時間にわたるアウトドアアクティビティはもちろん、仕事の合間や日常でのトレーニングの前などに食べても効果を発揮します。糖質を摂取したときに比べて血糖値の上昇も緩やかなので、食べたあと眠くなるようなこともありません。
3)軽量でカロリー豊富 使いやすいパッケージ
脂質エネルギーは糖質エネルギーと比べて軽量で高いカロリーを摂取できるのも特徴です。例えば、Trail Butterの4.5ozパックは1パック128gの重さで760kcalを補給できるのですが、これはランニング用の補給ジェル3本分の重さで、6〜7本分のエネルギー摂取をしているのと同じになります。
4.5ozのパッケージはキャップ付きなので、自分の好きなタイミングで好きな量を補給できるのも嬉しいポイント。「そんなにカロリーは必要ないよ」という人には、ジェルサイズ(33g)で約2倍のカロリーを摂取できるTrail Butter miniがオススメ。更に、家庭でもTrail Butterを楽しみたい人のために、JAR(454gのボトルパッケージ)も販売されています。下の写真は食べきりサイズのTrail Butter mini。
miniやJARは前回2017年の紹介のときにはなかったサイズなのでご興味ある方は是非試してみて下さい。

どんなシチュエーションで使えるの?
そんな、魅力が沢山つまったTrail Butterですが、どんなシチュエーションで使えるのでしょうか?実は結構幅広く使われています。
1)トレイルランニング
やはり、一番多くの方が使っているのがトレイルランニングの補給食としてですね。ショートレースだったらレース前のエネルギーチャージに、ロングレースだったらベースエネルギーとして有効に使うことができます。アンバサダーの牧野公則さんは2020年のKOUMI100でTrail Butterを使って準優勝しています。
2)ハイキング・ファストパッキング
実は、トレイルランニングより相性がいいのが、高すぎない運動負荷で動き続けるハイキング。直接エネルギーとして摂ってもいいですし、食事のパンなどに塗ったり、休憩時のコーヒーのお供に食べたりと様々なシーンで活躍します。重量あたりのカロリーが高いので荷物の軽量化にも一役買います。
「ヒマラヤは世界最大の裏山だ」を合言葉にヒマラヤを歩き続けるGHTプロジェクトの根津貴央さんもTrail Butterのアンバサダーです。もちろん、これほどハードなハイキングでなくて、ちょっとした日帰りハイキングでもTrail Butterはバッチリ活躍します。軽い荷物で長時間移動をするファストパッキングの行動食にも向いていますよ。
3)クライミング
長時間壁に張り付くマルチピッチのクライミングやアルパインクライミングでもTrail Butterは支持をされています。アンバサダーには世界的クライマーの横山勝丘さんや倉上慶大さん(写真のお二人)がいて、おふたりとも個人のビックプロジェクトでTrail Butterを愛用しています。
4)クロスカントリースキー
冬のスポーツ、クロスカントリースキーでもTrail Butterは使われています。世界選手権出場選手の成瀬開地さんも、脂質代謝を高めるために普段からTrail Butterを使用しています。
また、バックカントリーでクロスカントリーをする方々にもTrail Butterは愛用されています。
5)格闘技
最近ユーザーが増えてきたのが格闘家の方々です。ハードなトレーニングをする前にしっかりカロリーを摂取したい、でもトレーニングに集中するためにお腹は膨らませたくない、そんなニーズにTrail Butterがしっかり合っているようです。トップ格闘家の青木真也さんや山中健也さん(写真のお二人)もTrail Butterのアンバサダーです。
トップ選手以外でも、ハードな格闘技練習の前やスポーツジムでのトレーニング前にTrail Butterを摂取する方が増えているようです。
6)忙しい仕事の合間に
忙しい仕事の合間にTrail Butterを食べるという方もいます。食事に行く時間がないけどお腹が空いた、という時にTrail Butterは手軽にエネルギーを提供してくれます。また、脂質ベースなので食べた後の血糖値がゆるやかに上がるため、ランチ後に急に眠くなるあの現象が起こらないのもビジネスマンにとっては嬉しいポイントです。
7)日々の食事として
元々はアウトドアの補給食としてスタートしたTrail Butterですが、味が美味しいために日々の生活に取り入れる方もいます。
こんなふうにパンに塗ったり、
オートミールやアサイーボウルと混ぜたりするなど、様々な楽しみ方ができます。
あと、Trail Butterはパッケージあたりのカロリーは高いんですが、血糖値が安定して腹持ちがいいため、4.5ozであれば半分(約400kcal)も食べればお腹が一杯になります。一般的な定食が800kcal〜1,000kcalくらいなので、実はダイエットの置き換え食としても使えちゃうんですよね。
どんなフレーバーがあるの?
味が美味しいのが特徴と書いてきましたが、Trail Butterは日本では現在4フレーバーが発売されています。それぞれのフレーバーは以下のような感じ。いずれもナッツバターにココナッツオイルが加わっているというベースは同じですが、味付けはどれも個性があります。
ORIGINAL TRAIL MIX
ベースのナッツ:アーモンド
Jeffのバイクパッキングで生まれた、Trail Butterの最初のブレンドを再現したのがこちら。クランベリーのドライフルーツやひまわりの種などが入っています。女性の人気が高く、色々なフレーバーを食べた後にこの味が一番良かったとなる人も多いようです。
MAPLE SYRUP & SEA SALT
ベースのナッツ:アーモンド、カシューナッツ
どのフレーバーも同じくらい人気があるTrail Butterですが、あえて一番人気をあげるならこのフレーバーかもしれません。メープルシロップの甘さと海塩のしょっぱさが絶妙のバランス。甘すぎずとても美味しいブレンドとなっています。なお、このフレーバーのみヴィーガン仕様となっています。
DARK CHOCOLATE & COFFEE
ベースのナッツ:アーモンド
ナッツバターにコーヒー豆とチョコレートをブレンドしたのがこちら。甘さと苦味が程よいバランスで、コーヒーが好きな方はもれなく好きなフレーバーです。なお、ここで使われているコーヒー豆は地元ポートランドのロースターのもの。他の原材料もそうなんですが、Trail Butterではポートランド産のものをできるだけ使おうという姿勢が見て取れるのも良いですね。※こちらの商品にはカフェインが含まれます。
SPICED CHAI
ベースのナッツ:アーモンド、カシューナッツ
元々は期間限定だったのが、あまりの人気の高さにレギュラー商品化されたのがこちら。他の3フレーバーと異なりかなりスパイスの効いた味ですが、個人的にもかなり美味しいと感じます。トレイルのレースでジェルを摂りすぎて口の中が甘ったるくなった時のお口直しなんかにも効果があると思いました。※こちらは4.5ozの発売はありません。
その他の期間限定フレーバー
アメリカでは毎シーズン様々な期間限定フレーバーが発売されています。それらが日本に入ってくることはなかなかないのですが、少し前にポートランドのブルワリーとコラボしたIPA味というのが日本で少量発売されたことはありました。
IPA味は残念ながら既に販売終了してしまいましたが、今後も面白い期間限定フレーバーに期待です!
弱点もあります
美味しくて、エネルギーも長持ちして、と良いとこだらけのようなTrail Butterですが弱点もあります。使用の際は以下に注意して下さい。
1)よくもんで食べる
原材料がオールナチュラルというのはTrail Butterの長所ではありますが、それ故の注意も必要です。
原材料のココナッツオイルは気温が高いときは溶けてナッツペーストと分離します。そのままパッケージを開けると、オイルだけ飛び出したりこぼれたりすることもあるため、良くもんで中身を混ぜてからお使い下さい。
一方、気温が低いときはココナッツオイルは固まってしまうため、こちらも良くもんで柔らかくしてからお使い下さい。寒い時期は、肌に密着させるなど体温が伝わる場所に入れて持ち運ぶと固まりにくいです。
2)糖質エネルギーとうまく組み合わせる
Trail Butterの脂質エネルギーは長く効く反面、すぐエネルギーに変わるという点ではジェルなどの糖質エネルギーに劣ります。なのでトレイルランニングのレースで使用する際は、ベースのエネルギーをTrail Butterで取りつつも高い負荷をかけて動く際はジェルを使うなど、うまく組み合わせてお使い下さい。
3)お腹がゆるくなる場合は徐々に慣らす
Trail Butterに含まれる中鎖脂肪酸ですが、まれに摂取するとお腹がゆるくなる方がいます。そういう場合は一度に大量に摂取はせず、少しずつ食べる量を増やして体を慣らして下さい。体が脂質を消化しやすくなります。
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かなり濃密にTrail Butterのことを書きました。今年夏以降、山での縦走やファストパッキングを考えていたり、秋以降にロングレースへの出場を予定している方は是非Trail Butterを取り入れてみて下さい! 「既に使っているよ。」という方は、日常生活でも上手くご活用下さい!
商品ページ
Trail Butter
bit.ly/Trailbutter