ナイキのトレイルランニングシューズのラインナップが充実してきている。来年にはトップアスリートがテストしている〈ナイキ ズームX ウルトラフライ トレイル〉も発売される予定だ。なぜ今、ナイキがトレイルランカテゴリーに力を入れるのか、ナイキ トレイル ランニング フットウェア PLMのナターシャ・ルイスに話を聞いた。
アメリカではトレイルランニング人口が増えている
ナターシャに米国でのトレイルランニングの事情について聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「いまコンシューマーと話をしているとアウトドアへの大きな期待を感じます。コロナ前から始まっている傾向ですが、やはりコロナで広がったエスケープしたい、自然に行きたいという希望が高まっているのです。ただ決してコロナだけが理由ではなく、気分転換や心の健康のため、デジタルで常に繋がっているところからエスケープしたい、そんなニーズがある。こうしたことに対して、ソリューションを提供して自然を楽しみやすいようにしたいとナイキは考えているのです」
こうしたアウトドアを志向する人が増えてきたことで、トレイルランニングコミュニティも拡大し、新たにトレイルランを始めるランナーも入りやすくなっているそうだ。これまでトレイルランというと100マイルレースに代表されるストイックなイメージがハードルを上げていたが、多様なランナーが入ってくることで〈トレイルラン〉という言葉の定義自体が広がってきている感じがしているという。ロードの延長でちょっと町外れの森にも足を伸ばす、そんなこともトレイルランニングとして認められてきているという。
「たくさんの人にトレイルに興味を持ってもらいたいですね。開放的で楽しいと思ってもらえるように、エリートから初心者までしっかりサービスすること。それはカラー選びにも表れています。トレイルランとなるとテクニカルなスポーツなので、初心者が怖気付くようなところもあります。そういう人が入りやすいようにテクニカルなスポーツだが親しみやすくしたい。それが色にも出ています」
ナイキ トレイル ランニング フットウェア PLM ナターシャ・ルイス
ナイキ トレイルの3つのカテゴリー
こうした流れを受けて、ラインナップが豊富になったナイキ トレイルのシューズ群は現在、3つのカテゴリーに整理できるという。それはミニマルで軽く、速さや敏捷性を追求した〈ラピッド〉カテゴリー、100マイルレースのような長くテクニカルなトレイルを走るために保護性と耐久性を追求した〈ラギッド〉、ロードからトレイルに跨ぐハイブリッドなシューズを求めるランナーのための〈クロスオーバー〉に分類される。
まず〈ラピッド〉にカテゴライズされるのは来年発売予定の〈ナイキ ズームX ウルトラフライ トレイル〉と〈ナイキ エア ズーム テラ カイガー 8〉だ。
トレイルランナーにとってのヴェイパーフライ?
〈ナイキ ズームX ウルトラフライ トレイル〉
ナイキ ズームX ウルトラフライ トレイル
〈ナイキ ズームX ウルトラフライ トレイル〉は、トレイルランナーのヴェイパーフライのようなトレイルシューズが欲しいという声から生まれた。ミッドソールにはズームXフォームを採用し、カーボンファイバープレートを挟み込むようにして搭載している。特筆すべきはズームXフォームを特殊なファブリックで包んで保護していること。柔らかなズームXをテクニカルなトレイルで使用するための新たな工夫だ。アッパーはヴェイパーウィーブを採用し、軽さと耐久性を同時に実現している。
「ナイキのトレイルランアスリートにも様々な場面でテストしてもらっています。伝統的な100マイルレース〈WESTERN STATES 100〉でも実際に履いてもらい、2、3、4位の選手がこのシューズで入賞したんですよ。ヨーロッパでもシーデンングをしていて、そちらでも続々と結果が出ています。エリウド・キプチョゲ選手もこのシューズを履いてみたいと言っていますよ」(ナターシャ)。
来年以降、トレイルランニングレースでもロードレースのようにNIKEのズームXフォームが旋風を巻き起こすのは間違いなさそうだ。
ナイキ エア ズーム テラ カイガー 8:15,400円(税込)
一方、〈ナイキ エア ズーム テラ カイガー 8〉は「速さ、俊敏さ、迅速な動きに対応します。トレイルでも速く走りたい、接地感を感じていたいというランナーの声に応えるシューズです」とナターシャが語るようにNIKE TRAILのシューズの中で最もソールが薄いのでトレイルのサーフェスを感じやすく、308g(メンズサイズ28cm)と軽く仕上がっている。ミッドソールはリアクトを採用し、前足部にはエアバックを使っているため足元をしっかり守ってくれる。アウトソールには登りにも下りにも対応するラグパターンを採用。アッパーはエンジニアードメッシュでミニマル。しかしつま先はしっかり補強されている。
トレイルシューズで初めてズームXフォームを採用した
〈ナイキ ズームX ゼガマ〉
つづいて長距離のトレイルに対応する〈ラギッド〉には新作の〈ナイキ ズームX ゼガマ〉と〈ナイキ ワイルドホース 7〉が名を連ねる。
ナイキ ズームX ゼガマ :17,600円(税込)
22秋シーズンに登場したばかりの〈ナイキ ズームX ゼガマ〉は、最高のクッション性と耐久性を誇るシューズだ。見た目ですぐわかる厚底はトレイルシューズで初めてズームXフォームを採用した。最高のクッショニングを実現しながら、外側を覆うSRO2フォームとのコンビネーションがしっかりとした安定感を約束する。
ナイキ ワイルドホース 7:14,300円(税込)
〈ナイキ ワイルドホース 7〉は、100マイルにも対応する長距離仕様のトレイルランニングシューズ。リアクトフォームがクッショニングを、クシュロンフォームが安定性を提供する。アッパーはサンドイッチメッシュを採用し、環境が激しく変わる長いトレイルでも通気性と水抜けを確保している。
汎用性が高い一番人気
〈ナイキ リアクト ペガサス トレイル 4〉
ナイキ リアクト ペガサス トレイル 4:15,400円(税込)
ナイキ リアクト ペガサス トレイル 4 GORE-TEX:18,700円(税込)
そして〈クロスオーバープロダクト〉にカテゴライズされる〈ナイキ リアクト ペガサス トレイル 4〉とその防水仕様のGORE-TEXモデル〈ナイキ リアクト ペガサス トレイル 4 GORE-TEX〉。ロードのロングセラーモデル〈ナイキ ペガサス〉をベースにしているから、ロードからトレイルに移行するランナーには馴染みやすい。それにロードとトレイルが入り混じるコースではベストチョイスになるだろう。ミッドソールにはリアクトソールを採用し、アッパーにはエンジニアードメッシュにフライワイヤーがフィット感を高めてくれる。
「もっとも汎用性が高い一番人気のシューズが〈ナイキ リアクト ペガサス トレイル 4〉です。ハイキングにも使えますし、一足でなんでもできる。ロードのペガサスのライド感が好きな方には特におすすめですね」(ナターシャ)
自身もパンデミックをきっかけにトレイルを走り始めたというナターシャ。こうした開発メンバーが多様性を増すトレイルランナーのインサイトを汲み取ることで、今後のナイキ トレイルランニングのカテゴリーは豊かさを増していきそうだ。