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「Live with nature. 自然と共に生きる。」を掲げるライフスタイルブランド〈SANU(サヌ)〉が提供する「SANU 2nd Home」は、“自然の中にもうひとつの家をもつ”ライフスタイルを叶えてくれる画期的なサブスクリプションサービスだ。

サブスクの会員になれば、月額5.5万円で豊かな森や湖のほとりにあるキャビンにどこでも滞在することができる。都心から1.5〜3時間のエリア、八ヶ岳、山中湖、北軽井沢、伊豆高原など現在9拠点の53棟が稼働中。都市に住みながらも、自然に繰り返し通う生活が手軽に、身近になる。

「ただいま」モーメントを増やす

〈Backpackers’Japan〉を設立し、蔵前の『Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE』や馬喰町の『CITAN』、日本橋の『K5』など話題のホテルを展開してきた本間貴裕さんと、マッキンゼーからラグビーワールドカップ2019組織委員会に転じ、戦略統括・特命プロジェクト担当としてW杯成功に貢献した福島弦さん。自然豊かな環境で生まれ育ち、自然とともに生きることを体現している彼ら2人が、自分たちが理想とするサービスを求めた先に生まれた事業が〈SANU 2nd Home〉だ。建築家をはじめ、多くのクリエイターと対話を重ね、住を起点としたものづくりを通して、人と自然が共生する社会の実現を目指している。

「自然のなかで暮らしたい、過ごしたいと思っても、田舎に移住できる人や別荘を所有できる人は限られています。ホテルやグランピングも高級で、チェックアウトの時間も気にしなければいけない。もっと軽やかに、自由に、自然にアクセスしたいという思いから生まれたサービスです」(福島さん)

自然の中にある“もう一つの家” をコンセプトに掲げ、昨年11月で1周年を迎えた「SANU 2nd Home」。オープン時から勢いが途絶えず、現在もサブスク会員枠はウェイティング中という人気ぶり。ワンクリックで入会し、サービスを利用できる軽やかさ。会員になれば、季節や気分、気候に合わせてSANUが展開するロケーションから好きな場所が選べるため、楽しみが広がる。SANUの魅力を、紐解いていくと「ただいま」の感覚が重要なキーになっているようだ。


SANU 2nd Home-八ヶ岳1st内観

「キャビンは空間設計を同じにすることで、周囲の自然環境は違っても、扉を開けた瞬間に「帰ってきた」っていう気持ちになれるような仕掛けをしています。利用者アンケートでは、お子さんが自宅のように「ただいま」と言ってしまう、といった声が実際にありました。ホテルに宿泊するのとはまた違った、“もう一つの家に帰る”体験を作れたんじゃないかなと思います。稼働率は平日が多いのが特徴的ですね。出張の延長だったり、何もしない時間を楽しみに行くなど、利用目的は多種多様です」(福島さん)

SANUでの滞在中、食事はすべて自分たちで用意する。地元のスーパーで食材を買って、キッチンで料理をするといったスタイルも、自宅で過ごすようなリラックスをもたらしているかもしれない。清掃も地元の事業者とのパートナーシップによって運営されており、地域と密着したビジネスモデルが実現されている。

新拠点、海辺のエリアへ

これまで山や湖を拠点にしてきたSANUは、いよいよ海側へと進出する。

「海への進出は、僕の積年の想いで……。一宮はもともとSANUの候補地として最初に検討していた場所でもあります。
海という場所は、僕にとって“ゆるめる場所”。ハードなサーフィンやダイビングじゃなくてもいいから気軽に海に足を運んで、日常生活のなかで朝焼けや夕焼けを眺める時間を過ごして欲しいです。また海の近くだからリラックスして人と話して欲しいなと。山のSANUは1つ1つのキャビンが独立しているけど、海はアパートメント型。カフェ&ベーカリーやコワーキングスペースがあって、人との交流が自然に生まれる設計になっています。海で過ごす時間と、その時間を共有する人が海のSANUのコンセプトの軸になっています」(本間)

建築家である加藤匡毅さん(Puddle)、作庭家の天野慶さん(Yard Works)も、設計中の新モデル「SANU Apartment」について、それぞれの視点で話す。

「山と違って、この場所は平坦です。ロケーションに建築をポンと建ててしまうのではなく、建築以外の部分も含めて、長い時間をかけて育っていくことを願い設計しています。またアパートメントという設計ですが、部屋に角度をつけることによって、隣接する壁の設置を50%にとどめ、占有のプライベート空間を守りつつ、繋がっている建築設計を意識しました。ローカルで育った建築建材も積極的に採用しています」(加藤さん)


内観 リビングイメージ|©︎ Puddle Inc.

内観 キッチンイメージ|©︎ Puddle Inc. 

内観 ベッド・ワークスペースイメージ|©︎ Puddle Inc.

動植物が共生する豊かな環境下に建築物を建てる『山側に建つSANU』は、土壌のダメージを最小化することが念頭にある。一方海は、土壌環境が山ほど豊かではないため、建築に加えてランドスケープが鍵になる。

「神社みたいな空間になればいいなって。湿気があって、神聖的。街の中にそういう場所があることで、神社を目指すといったら烏滸がましいけど、風通しの良さ、心地よさを感じられるようなものに育っていって欲しいんです」(本間さん)

「いかに自然と生きていくかがテーマのSANUに対して、ランドスケープでどんな工夫ができるかと考えて思いついた一つが“ススキ”でした。箱根の仙石原のようなイメージ。ペレットストーブの原材料になっているススキを見つけ、これだと。このススキを利用してエネルギーの循環をつくれるように、まずは試験的に導入していきます。また、廃木材や間伐材等をチップ化した木質アスファルトを歩道に使用するなどランドスケープは複合的に取り組んでいきます。他には、中庭の花壇に植物を植栽して、宿泊者は花壇から花を摘んで部屋で活けてもらえるようにしたり、一宮町の木である黒松などを植え、来るたびに表情が異なる四季を植栽で設計できるようにと考えています。(天野さん)

自然が美しい、面白いと思ってもらえれば、おのずと守りたいと思う気持ちが生まれる。体験、感性としての「Live with nature.」を表現していきたい、と本間さんは話す。

伊豆下田・軽井沢・那須などの新エリアに進出し、2023年に追加で100棟が着工する予定だという。

SANUの1年とこれから

2020年の事業立ち上げから2年。福島さんと本間さんに改めてこれからの展望を伺った。

ー新しい海辺のSANU、ソフト面で考えていることはありますか?

「理想は、サーフィンが上手い地元の人が『一緒に行こうよ』って誘ってくれるような動き。SANUを利用する人が海に入るきっかけは作りたいと思っていて、それはレンタルボードかもしれないし、案内人かもしれないけど、これから取り組んでいきたいです」(本間さん)

「あとは地元のネイチャーガイドさんと組み、会員のお子さん向けに開催している「SANU Nature School for Kids 」など。少人数で体験できない、自然と触れ合う時間を子どもたちに提供したい。海側は海岸線がずっと広がっているようなロケーションが多いから、ランニングもすごく気持ちいいと思います」(福島さん)

ー子供たちの利用を想定して配慮されていることは?

「僕自身、9歳と6歳の子どもがいるんですが、海に行くとどこもかしこも砂だらけになります。だから海からそのまま帰れるSANUは、本当に楽なんです。外にシャワーも作っているし、玄関からお風呂場までシームレスに繋がっているので、大人はウェットスーツのまま、子どもも砂だらけのままでOK」(本間さん)

自然の中で、思い切り遊び開放できるような環境を。子どもの遊びに対して、禁止事項をなるべく増やさず、デザインで解決したい、と本間さんは話す。

ー以前のインタビューでは、事業立ち上げの経緯などを伺って、サービス実働はこれからという段階でしたよね。1年間、実際に運用してみていかがでしたか?

「思った以上に、いい反応をいただきました。キャビンの建築設計を同じにすることで安心感を、というのも実際に動かすまではわからなかったんですが、結果的に利用者の間で“ただいまモーメント”が起きたり、ホームに帰ってくるという狙いが実現できました。何より会員のみなさんが、SANUらしい価値を体現して、それぞれの「Live with nature」を発信してくれる。SANUの会員同士の緩やかな交流だったり、同じ土地に何度も通うことで、地域のお店と顔馴染みになったりすることも、ホーム感をより高めていると感じます」(福島さん)

ーこれからの展開は?

「なるべく早いタイミングで日本の海を越えることが目標です。言語を伴わない“建築”だからこそ、世界に広がる可能性を感じています。国内も今は関東近辺ですが、徐々に広げていきたいですね。日本はコンパクトな自然の宝庫で、東京からダイレクトフライトでいける土地でも、まだまだネイチャー資産が眠っているので」(福島さん)

SANUを描く2人が、自然とともに生きていること、楽しんでいること。その体験すべてが、“自然の中のもう一つの家”の魅力の源になっている。山と海、それぞれのロケーションで展開されるこれからのSANUにも期待が高まる。