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昨年のベルリンマラソンで2時間22分02秒の自己ベスト(当時)を更新し、パリ五輪代表選考会MGCへの出場権を獲得した鈴木亜由子選手。さらに今年3月に行われた名古屋ウィメンズマラソンでは、2時間21分52秒と再度ベストを更新して2位を獲得した。東京五輪を経て、強さを増した彼女にその要因を分析してもらった。そして、新しくなった〈ナイキ ペガサス 40〉の印象と、シューズの履き分けについても語ってくれた。

−名古屋ウィメンズはすごく良い成績でしたね。おめでとうございます。

ありがとうございます。

−ベルリンと2レース続けて自己ベスト更新ということで、とても調子が良いように外からは見えるのですが、要因はどう分析されてますか?

これまでは、初マラソンと選考レースとオリンピックというところで、結構難しい状況の中でのレースでした。自分の経験も少なくて、なかなか記録っていうところにはチャレンジできなかった。今回はベルリンと名古屋と、やっぱり一度記録を出して、今の自分を超えて自信をつけたいなという思いがあった。それで質を意識した練習をするようになって、少しずつ結果が残せてきたのかなと思っています。

−初マラソンの後の2レース(MGCと五輪)は勝負であって、タイムの話ではないですもんね。

そうですね、経験がやっぱり少なかったっていうところと、試行錯誤してやっとちょっとずつ形が見えてきたのかな。あと監督とのコミュニケーションとか向き合い方とか、そういうこともだんだんわかってきて、というところかなと思います。

−練習方法もある程度見えて固まってきたりしてたり?

そうですね。はい、少しずつ。でも同じことをやっても多分ダメだと思うので、ある程度ベースはありながらも、今までの練習にこだわるんじゃなくて、どんどん変化をつけてトライしていくのが大事かなと思っています。

−身体のメンテナンスなども関係していますか?

そうですね。やっぱりメリハリが大事。(厳しい練習を)やらないと超えていけない、強くなっていけないので、やった分しっかりリカバリーを取る。そのメリハリが本当に大事だなってことに気がつき、より強く感じるようになりました。

またMGCが近づいてきているので、色々変わってくると思いますけど、それに向けて持っていき方は見えていますか?

MGCは一回目を経験して、もうやりたくないって思ったんですが、二回目なので、その緊張感を楽しむというか、それぐらいの気持ちを今回は持ちたいです。そこでトライできるということは、なかなかできない経験だと思うので、楽しむという気持ちを忘れずに走りたいです。あと東京五輪を経験して怖いものはないというか、恐れというのが少なくなったので、結果を気にせずに今できることにしっかりと集中してやっていくことが大事だと思っています。

−逆に言うと、その一回目のMGCから東京オリンピックまで相当重圧があったということですよね。今だから言えることもあると思うんですけど。

そうですね。自分で勝手にプレッシャーをかけたりとか、背負ってしまっていた部分がありました。終わってから、そういうことに気がつきました。苦しい時期もあったんですが、今は乗り越えられたと思うので、本当に失敗を恐れずに、やるだけかなと思っています。

−今は気持ちの上ではかなり良い状態ですか?

そうですね。結果よりも後悔する方が怖いと思うので、やった結果ダメだったらそこで諦めがつくし、前にも進めると思います。やっぱり一番苦しいのは、もうちょっとできたなと後で感じてしまうこと。やり切れば、良くても悪くてもやっぱり納得できるので、そういった走り、取り組みをしていきたいなと思っています。

−マラソンに転向されてトラックの時のスピードとか、今は活かせるようになってきている感覚はありますか?

そうですね。ちょっとずつ活かせるようになってきているかもしれません。前まではトラックとマラソンとは別に考えていたところがあったんですが、今はマラソンもトラックの延長と思っていて、やっぱり基本はレースペースに身体をならしていく、そういう練習で身体を順応させていくということがタイムに直結すると思うんです。マラソンもしっかり土台を作った上でそういった質が本当に必要だと思います。ちょっと距離が長くなったりとか、本数が多くなったりと、本当に違いだけです。そこで、トラックの今までやってきたことが活きてくると思っています。

−それに気づいたのは、いつ頃ですか?

東京オリンピックが終わってからですね、ベルリンに向けて練習していく中です。

−それが結果につながったからすごく良いですね。

そうですね、それで今回もある程度確認ができたので、これをベースにさらに高いレベルで走っていきたいなと思っています。

トラックからマラソンへ転向されて、まだ競技人生長いと思うのですが、ランナーとしての目標は?

自分の可能性がある限り、やりきったな、というところまでは頑張りたいなと思っています。

−どんなランナーになりたいという理想像はありますか?

かっこいいランナーになりたいなってずっと思っています。私は結構、父の影響を受けています。父は別にランナーでも何でもない、本当普通のお米屋さんなんですけど「かっこよくなきゃね」と言うんです。お父さんは何がかっこいいと思ってるのか分からないんですけど(笑)。自分としては、勝っても負けても、すっきり自分の力を出したいというか。何でしょうね、かっこいいって。

−でも伝わります。それを体現しようとしてるんだなって分かります。凛々しいというか。

ありがとうございます(笑)。でも、ゴールした時に“もう少しいけたかな”と思うことが最近は多いので、ちゃんと出し切ってゴールした時に納得のできるレースというのをこれから目指したいです。

鈴木亜由子選手に聞く〈ナイキ ペガサス 40〉

MGCへ向けて練習を積む鈴木選手に、〈ナイキ ペガサス 40〉や、これまでのペガサスの印象とシューズの履き分けについて語ってもらった。

−どんな練習でペガサスを活用されていますか?

普段のジョグは大体ペガサスですね。あとはキロ4分半とか4分くらいのちょっと速いジョグって時にも使える本当に万能シューズだと思います。

−ペガサスのどんなところが気に入っていますか?

なんというか良い意味でクセがない、ニュートラルな靴だというところ。そして自分の足にほんとうにフィットする靴なんです。安心感がほんとうにあります。足づくりにも本当に良いので、ロング走などにももってこいだと思います。

−今回ペガサスも40代目ということなんですが、〈ナイキ ペガサス 40〉は足入れしましたか?

しました!アッパーのフィット感がよくて、以前はくるぶしのところが当たることがあったんですけれど、そこも今回は当たることもなくすんなりとフィットした感覚がありました。フィット感が上がりましたね。

−ペガサスはいつ頃から履いてますか?

〈ナイキ ペガサス 36〉くらいからです。〈ナイキ ペガサス 40〉の方が安定感がありつつも、地面をダイレクトにキャッチできるっていう感覚はあって、自分は地面の反発をもらって走るタイプなのですごく良い面をもっていると思います。安定感と反発とバランスが良いですね。スピードを上げやすくなったって感じます。

−次に鈴木選手はシューズをどのように履き分けていますか?

ジョグはペガサスとインヴィンシブルが今は多くて、クロカンや距離走となるとペガサスターボ。これは、本当にチームのみんなもよく履いていて、朝練とかのちょっとしたペース走にも使っています。私は踵が狭くて、結構ズレやすいんですけど、でもペガサスターボはキュって締まるので、クロカンのような路面がグラグラする時にも重宝します。

−なるほど。レースはいかがですか?

レースは最近ここ2回はヴェイパーフライを履いています。ピッチ走法なのでヴェイパーの方が自分の特徴を活かせると思います。アルファフライのあの反発をもらって走りたいなっていう思いもあるんですが、なんかまだちょっと自信がないというか、最後までアルファフライで走り切れたらすごいアドバンテージだと思うので、いつかは試してみたいです。

−そこは結構悩ましいところですね。逆に短い距離だったらアルファでも?

そうですね、良いと思います。自然とダイナミックな走りになる。そのフォームで最後まで行き切れる、そこの走力がまだ足りないのかな。それで行けたら多分すごくタイムは縮まると思うんですけど、自分はまだそこまで達してないのかなって。

−チャレンジする機会はありそうですか?

してみたいです。いずれ足を作って。

〈ナイキ ペガサス 40〉

ナイキ ペガサス 40が新しくなって登場。ナイキ ペガサスは「あらゆるランナーのためのシューズ」として1983年に登場して以来、多くのランナーに信頼され、頼れるシューズとしての評価を確立させてきた。今年で40周年を迎えたペガサスは、多くのランナーのフィードバックをもとに進化し続け、培われた信頼と安定した走りを提供することを重視しながら新たにデザインされた。

ナイキ ペガサス 40 ¥15,400(税込) 

鈴木亜由子

鈴木亜由子

1991年10月8日生まれ。愛知県豊橋市出身。日本郵政グループ女子陸上部所属。
名古屋大出身の文武両道ランナーで実家は米屋。2016年リオデジャネイロ五輪では、5000mと10000m代表、2021年東京五輪マラソン代表。2023年名古屋ウィメンズマラソンでは、自己ベストの2時間21分52秒で2位(日本人1位)となった。