OYMRCメンバーが目標とする長野マラソンまでいよいよ残り一週間となりました。今週は仕上げのトレーニングとして、10kmのレースペース走を行いましたが、みんな調子を上げてきていて余裕を感じました。また、マラソンレース中の補給についても、メンバー内で確認したので今回はそれをご紹介します。
トレーニング座学15では、カーボローディングについて紹介しています。簡単に言うとレース1週間前の食事と練習量の調整で、普段よりも多くの糖(グリコーゲン)を筋肉に装填出来る、というものです。それでも、マラソンレースではエネルギー源としての糖が足りなくなることがあるので、出来るだけ脂肪からもエネルギーを取り出したい。しかし、糖がなくなってしまうと脂肪からもエネルギーを取り出せなくなってしまう(ハンガーノックと呼ばれる状態になる)ので、糖質の補給もしながら走りたいのです。
マラソンレース中に必要となる補給は大きく分けて2つ、エネルギー補給と水分補給です。さらにエネルギー補給には、アミノ酸系と糖質系があります。これらの違いを知れば、より効果的に使うことが出来るのです。
<エネルギーの補給 アミノ酸と糖質>
アミノ酸は、それ自体もエネルギーとして使うことが出来ますが、もっと大きな役割としてはエネルギー代謝を活性化させるという働きがあります。そのため、糖や脂肪から効率良くエネルギーを取り出すことが出来ると考えられています。アミノ酸系の補給をとるタイミングとしては、レースの30分ほど前まで、ウォーミングアップを始める前などに摂ると効率的です。
レース中には糖質の補給が効果的です。OYMRCのメンバーは、糖質が多く含まれていて軽量で小型のジェルなどを、ランパンのポケットなどに複数個入れて走ります。どれくらいの量を、どれくらいの頻度で摂るかは、スピードや完走予定時間によって違ってきますが、およそ45分に一本くらいの間隔で、給水所の手前で摂るようにしています。具体的には、10km、20km、30km、35km辺りです。
小型・軽量で、1個につき120kcalほどのカロリーが含まれるエネルギージェルは、いろいろなメーカーからバリーエションに富んだフレーバーがでています。味や飲みやすさの違いだけでなく、裏の成分表も見てみると、原料や主成分、電解質、ビタミン群などの含有量に違いがあることが分かります。
糖質は、単糖類、二糖類、多糖類と、分子の大きさ・形によって分類されるのですが、一般に分子が細かい方が早く吸収され、分子が大きい方がゆっくりと吸収されます。持久系スポーツの場合は、一気に血糖値を上げ短時間でエネルギーとして燃焼される単糖類よりも、ゆっくりと吸収され血糖値を一定に保つ多糖類のほうが効果的と考えられています。
エネルギージェルの中でも主成分が「マルトデキストリン」のものは、素早くエネルギーになりながら血糖値を一定に保ち長く持続するのでレース前半〜終盤までマルチに使えてお勧めです。一方で、果糖が含まれているものを使うなら、その即効性からレース終盤に使った方が効果的ですね。電解質が含まれているものもありますが、電解質は後述のスポーツドリンクでも多少補うことが出来ます。
<ジェルは給水所手前で摂ろう>
ジェルを給水所の手前で摂るのは、糖質は水と一緒で無ければ身体に吸収されないからです(おにぎりやパンも同じです)。それに、ジェルは甘くてねばねばしているので、いずれにしても水が無ければ飲み込みにくいのです。
大会によってはエイドステーションが設けられていて、おにぎりやバナナ、チョコレートなどが置いてあるので、そういうサービスを利用するのも手です。食べている時間が勿体ない、と思って素通りすると、後でエネルギー切れになって大失速、なんてこともあるので、少し立ち止まって、バナナ一切れでも口にしたほうが結果的に速く走れる場合が多いです。ただし、チョコなど単糖類のものを沢山食べると血糖値が一気に上がってしまい、よけいに糖の消耗が早くなってしまうので、チョコは食べるなら一粒にしましょう。
<水分の補給 紙コップは三角に潰して飲もう>
天気、気温、気象条件にもよりますが、長時間走っていると汗とともに大量の水分が失われます。水分が失われるとパフォーマンスが低下するだけでなく、脱水症状や熱中症などのリスクも高まってしまいます。そのためマラソン中の水分補給は、喉の乾きを覚える前に、出来るだけ頻繁に(15〜20分ごとに一口ずつ)飲みたいところです。10km過ぎたら5km毎に水を一口ずつでも飲んでいきたいです。
給水所には、水のほかにスポーツドリンクがある場合もあります。汗でナトリウムなどの電解質が不足するとレース中に痙攣を起こすこともあるので、電解質を含むスポーツドリンクを何度か口にするのがお勧めです。
また、紙コップを取って走りながら飲もうとすると、鼻に入ったり口の外にこぼれたりしてしまいます。一瞬立ち止まって水を飲めば、こぼれずに確実に飲めるのですが、走るリズムを崩したくなければ、紙コップの端を三角に潰して、そこから飲むと水がこぼれないのでお勧めです。
この2ヶ月半しっかりとトレーニングが出来たと思うので、休養と食事を十分に取り、リラックスして当日を迎えましょう。次回のOYMRCは、長野マラソンのリポートをお届けする予定です。
(文 肥後徳浩)
4/9(月)からのOYMRCの練習スケジュールを紹介します。疲労や体調を確認しながら、ちょうど良い時間、距離、強度をアレンジしながら楽しくトレーニングしましょう。
【OYM running club アーカイヴ】
#01 ケガなく、楽しみながら走るために
#02 自分に合ったペースで
#03 ジョギングとペース走
#04 ウィンドスプリント
#05 シンスプリントの予防
#06 自然の中を走ろう〜トレイルランニング〜
#07 ビルドアップ
#08 インターバル Ⅰ
#09 変化走 I
#10 目標タイムとタイムトライアル
#11 レースペース走
#12 レースに向けた調整(1)テーパリング
#13 初レース当日の過ごし方
#14 千葉マリンマラソン・リポート
#15 レースの終わりは次のレースの始まり
#16 LSDとロング走
#17 インターバルII
#18 30kmロング走
#19 マラソンの目標タイムとレースペース