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(写真 古谷 勝 / 文 小泉咲子)

2月10日から、原宿キャットストリートに出現した複合フィットネス施設「Reebok FITNESS BATTLECLUB」(リーボック フィットネス バトルクラブ)。17日には、onyourmarkがリーボックとタッグを組んだワークショップがスタートした。初回のインストラクターは、当サイトで絶大な人気を誇る連載コンテンツ「大人の体力測定」監修トレーナー・清水忍さん。“走り込みだけではないランニングスキルを上げる~大人の体力測定~”と題し、実践的なトレーニング法をレクチャーしてくれた。ふだんのトレーニング前後に取り入れたいものや目からウロコの理論を紹介する。

ランニングは完璧な運動に非ず

まず、清水さんから指摘があったのは、「ランニングは優れた運動でありながら、関節可動域の動きが少ない」という点。考えてみれば、ストライドを大きくしようにも限界があり、腕をぐるぐる回すわけでもない。だからこそ、可動域を広げるトレーニングをプラスすることで、ランがパーフェクトな運動となり、ランニングスキルもアップ、結果的に記録も伸びるというわけだ。

この日、ランナーにとって、もっとも大きな驚きだったのは「解剖学及び運動力学において、前傾はマイナス以外の何ものでもない」という発言だったのではないだろうか。

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同じ股関節角度にしたときのランニング中をイラストで説明。右は、「こんなに前傾する人はいない」前提ではあるが、同じ歩幅で前傾姿勢だと脚を上げなければならず、運動量のロスが生じる。タイムを上げるには、身体を起こして脚を出す(左)のが有効だというのが清水さんの理論だ。ラン中に太ももの前側に負担が大きいと感じているのなら、前傾の可能性が高い。

ラン前には可動域を広げるトレーニングを

走る前に下記のようなトレーニングを行うと体温が上がり、可動域も広がって、身体がラクに動くようになるはずだ。

実践① 股関節の可動域を広げる
1.左足を一歩踏み出す。
2.左手を内膝側から入れる。
3.膝を回転させる。
最低、右・左回し各5回転を左右両脚行う。

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立って股関節を回してみると、ふだんより軽く回せ、右脚股関節と比べてみるとその差は歴然!

実践② 大歩幅で踏み込んで立ち上がる(ロングステップランジ)
立ち上がるときに、前脚のもも裏を使っているのがわかる。大事なのは、身体が前傾にならないこと。上体がブレないようにすると、柔軟性も養われる。この日は、40歩ほど歩いたが、回数を増やすよりも、今日より明日、明日より明後日、歩幅を広げることを目指す。

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合計10個ほどのトレーニングを15分ほどかけて行ったが、参加者の顔からはすでに汗が噴き出している。ランニングでは使わない筋肉や可動域を使った証拠だ。

意識すべきは“かかと”
さまざまな走法があるが、清水さんが強調するのは、かかとに重心を置く重要性だ。かかとで地面を捉えると、大きな筋肉であるお尻を上手く使えるようになり、パワフルな走りが手に入る。
実践③ 階段上がり
まず、何も考えず、やや早歩きで階段を上がってみる。そして、清水さんから「かかとの力を使って上ってみて」と指示が。つま先はついていていいが、かかとに体重をかけて上がると、お尻に刺激が走る。そして、1段飛ばしで、かかとで上がる。かなりお尻にズンとくる。

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仕上げは、階段をダッシュ。「かかと、かかと、かかと…」と呪文のように唱えながら走ってみると、「“お尻を使って走る”とは、こういうことなのか!」とハッとさせられた。「街中を走っていて、階段をかかとで走ると、運動レベルが俄然上がり、さらに脚が前に出るようになります。つまりタイムが上がるということ」。

体幹トレーニングやストレッチの落とし穴

実践④ マット運動1
1.仰向けになり、右脚をついて左脚を伸ばす。
2.かかとで地面を押して、お尻を一気に上げる。
左右脚で各10回行う内に、徐々にスピードアップさせていく。余裕がある人は、お腹に重しを載せてもいい。

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実践④ マット運動2
1.両肘をつき、両脚を伸ばす。
2.左脚を浮かせる。
3.一気に、ももを上げて止まる。

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お尻が突き出ないように、骨盤を後傾にして行う。浮かせる脚を入れ替えて、各7回。ポイントは、一発でドンッと上げて、止まること。「人は止まらない、動くんです。なので、止まった状態のまま体幹トレーニングをしても、身体機能の向上は望めません」。

実践⑥ ストレッチ1
1.左脚を前にして座る。
2.左脚を90°に曲げ、ふくらはぎに胸をつける。
左右脚共に。ふだんからやっている人が多いストレッチではあるが、前膝が曲がりすぎていないか確認してほしい。「解剖学的に、90°以上曲げると、ストレッチ感が薄れてしまいます」

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実践⑦ ストレッチ2(前屈)
1.右膝を立て、左膝を倒す。
2.土踏まずあたりを両手で持つ。右膝は曲がってもOK。
3.ももとお腹が離れないように、お尻をできるだけ後ろに突き出していく。

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この方法が、伸ばすべきもも裏がちゃんと伸びる前屈の方法。上体を前に倒すことばかりに意識がいくと、腰が丸まってしまうので注意。目線は、斜め前方くらいだと、腰が丸まらない。「ストレッチは、頑張ってやってしまうと、筋肉が抵抗してしまいます。仮に30分やってても平気くらいのラクなポジションと強度が正解です」。

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終了後、週4回10㎞ずつ走った後に筋トレをしているという20代の男性でさえ、苦しそうな表情を浮かべ、しばし動けなくなっていた。そうした様子を清水さんは、高評価する。「人は、苦痛の表情のときほど夢中になっているんです。インターバル中に、一点を見つめている方がいましたが、ゾーンに入っているということ。だんだんと、みなさんから笑顔がなくなっていくのを見て、ご自身の内部でかなり盛り上がっているのを感じられました」。

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参加者からは、「ふだんのランでは使っていない筋肉を動かせた実感があった」「ふだんから、かかとで階段を上がるとヒップアップにもよさそう」との感想が聞けた。4時間切りを目指し、月間150km走り込むランナーも「可動域が広がるのを確実に感じました。膝を回す運動は、明日から取り入れたい」と刺激を受けたよう。

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今回履いたジーポンプフュージョン 2.0についても履き心地の良さを実感。裸足感覚に近いアッパーのフィット感がより体軸を保ってくれる。ランニングはもちろんトレーニングにおいても活躍してくれそう。

トレーニングは、続けることが大前提。しかし翌日走ってみると、身体を起こし、かかとで地面を捉えることを意識しただけで、ぐんと身体が前に押し出されるような感覚があり、ペースがかなり上がった。即効性もありそうだ。ランニングシーズン真っ只中で、大会参加を控えているランナーも多いだろう。今回紹介したトレーニングで、ランニングスキルを上げ、自己ベストを更新してほしい。

次回の「Reebok FITNESS BATTLECLUB」(リーボック フィットネス バトルクラブ)プログラムは2月24日(水)に開催。講師に坂本真理さんを招きラニングスキルを上げるためのコンディショニングをご紹介。
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