暑さが和らぎ親潮の流れが緩やかになる9〜10月、夏に涼しい海に移動していた鰹は南下を始める。その脂ののった鰹こそ戻り鰹だ。
ねっとりとした身と力強い旨みを味わえる戻り鰹は、江戸時代には冷遇されていた。もともと江戸っ子は初夏のさっぱりとした初鰹がもてはやされたのだが、戻り鰹は“猫またぎ”と呼ばれ、見向きもされなかったそう。まぐろでも赤身を好み、脂がのった部位は捨てられていたという。
鰹は良質なタンパク源であり栄養価もリッチ。脳を活性化させたり血液をサラサラにするといわれるDHAやEPAのほか、代謝を促すとされるビタミンB6、脳機能を守る働きがあるというビタミンB16、アルコールの代謝にも効果が期待できるナイアシンを含む。
戻り鰹を手に入れたら自家製ツナを作ってみてはいかがだろう。鰹全体に塩大さじ1を振ってからざるにのせて、できれば1時間ほど放置。表面ににじみ出た臭み(水分)をペーパータオルなどで押さえるのがおいしく仕上げるポイント。塩が表面に残るが、洗い流す必要はない。
小さめの鍋にローリエ・昆布・にんにく(薄切り)大1片・ブラックペッパー・オリーブオイル50ccと鰹が浸るように水400ccを入れ、火にかける。煮立ってきたらとろ火にして約20分煮たら、そのまま冷ます。使うときには汁気を切って、大きめにほぐすこと。おすすめは自家製ツナのポテトサラダ。蒸したジャガイモをフォークでくずしたら、ツナと合わせてオリーブオイルと塩で和える。アンチョビやケーパー、ゆで卵を入れても美味。