カウンターの奥に覗く豊かな緑はまるで自然の舞台装置のようであり、それを背に料理する女主人はさながら劇場で演じる女優のようにも見える。〈料理 胃袋〉に足を踏み入れると、非日常に包み込まれる。沖縄の滋味溢れる食材がさまざまな方法で生まれ変わった料理を口にすると想像力が拡張し、たどり着くのは恍惚の世界だ。単なる多幸感だけではなく、生きる力が奥底から湧き出してくるような充足感を得て帰る人もいると聞く。“胃袋劇場”で受けるこの感覚をなんと表現すればいいだろう。はたしてその源を紐解くことはできるのだろうか。半ば謎解きのような気分で店の扉を開けた。
食材の様子をつぶさに観察し、瞬間の煌めきを料理へ注ぎ込む