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80年代に化繊のフリースが中間保温着として広まる以前、ウールのニットがその役割を担っていた。

人類初のエベレスト登頂に挑んだジョージ・マロリーはウールのニットや下着、フランネルシャツを身に付けていたという。ウールとは羊毛のこと。羊は山岳地帯で群れを成してきた動物なので、その体毛がアウトドアで優位性を発揮するのは当然ともいえる。

弱点は耐久性、それからよく保水するため乾きにくいところ。洗うと縮んでしまう点や、チクチクする肌触りを機能的でないと見る向きもある。そのため、化学繊維テクノロジーの発達とともに一時ダウントレンドとなった。

しかし濡れても保温性が損なわれにくいという特性は、化学繊維では再現が難しかった大きなメリット。天然の抗菌作用やナチュラルな調湿性なども見直され、近年はベースレイヤーやソックスの素材として再評価が進んでいる。

それらは柔らかくてしなやかなメリノウールを用いたり、耐久性や速乾性に優れた化繊と混紡したりすることで、ウールの弱点を見事に補完。また、持続可能なマテリアルである点も、時代がウールを選ぶ理由になっている。

Patagonia /キャプリーン・クール・メリノ・シャツ

〈キャプリーン〉はPatagoniaが展開する機能的なパフォーマンス・ベースレイヤーの定番コレクション。

さまざまなアクティビティのレイヤリングのベースとなり、素肌の上に羽織る一着目のベースレイヤーとして選択されることが多い。中でも〈キャプリーン・クール・メリノ〉は、その名の通り素材にメリノウールを採用している。ウールの繊維はスケールと呼ばれるウロコ状の鱗片で覆われている。そのため繊維表面には水分が残りにくく、ニオイの原因となるバクテリアや菌の繁殖が起きにくい。

一方で繊維内部は親水性があるため、湿気を取り込む作用もある。この天然の調湿機能と抗菌・防臭効果が、何日も連続して着用するような縦走時のベースレイヤーとしてうってつけなのだ。

ただし、激しい運動で求められる耐久性と速乾性には一抹の不安が伴う。そこでリサイクル・ポリエステルを35%ほど混紡することで、全体的なパフォーマンスのバランスを取り、テクニカルウェアとしてのスペックを高めている。

ちなみにPatagoniaが調達しているすべてのバージン・ウールは、農場から繊維まで供給源である動物と放牧地の両方が守られていることの保証を助ける「レスポンシブル・ウール・スタンダード (RWS)」の認証済みだ。

〈Patagonia / キャプリーン・クール・メリノ・シャツ〉¥8,580-

icebreaker / ゾーンニット ショートスリーブ ティー

部位の特性に合わせて適した素材を配するゾーンニット構造を採用することで、速乾性が欲しいシチュエーションでもメリノウールを着用できるようチューンしたTシャツ。

発汗量の多い時期に最適な独自の混紡素材〈クールライト〉は、メリノウールの汗冷えしにくい利点をそのままに、植物由来でなめらかなタッチのリヨセルをブレンドし、着心地の良さや吸水性を両立。さらにナイロンを混紡することで耐久性を補っている。

どのような割合でどのような化繊をブレンドするかは、メリノウール製品専業メーカーである〈icebreaker〉の手腕の見せどころ。そのうえで、前身頃部分には〈クールライト〉のジャージー素材を採用。

ライトブルーに切り替えられた脇下や背面は、同じ〈クールライト〉ながら目で見てそれと分かる大きさのアイレットを開けたメッシュ地タイプを採用と、一着のなかで適材適所を使い分けた完成度の高いテクニカルウェアになっている。

〈icebreaker / ゾーンニット ショートスリーブ ティー〉¥9,900-

Point6 / アルパイン エクストラファイン メリノウールT

ウール特有の縮れは空気をたくさん含んで断熱層を作るため、冬の寒さも夏の暑さも防ぐ。そのため、薄手の生地にしてもカットソーとしての機能を果たすといえる。薄手にすれば衣服としての速乾性も高まるため、化繊と比べて乾きにくいというデメリットの解消も期待できる。

Point6の新作は18.5ミクロンのメリノウールを100%使用。メリノウールは繊維の細さでランク分けがされており、18.5~19.5マイクロンの繊維はエクストラファインメリノと格付けされる。

人間の髪の毛の太さが平均70ミクロンというから、非常に細い部類だ。繊維が細ければ細いほど高品質なメリノウールとされ、薄手の生地が作りやすく、また肌触りのチクチク感も軽減される。カシミヤの繊維が14~16ミクロンであることを考えると、チクチクというよりむしろ、シルクのような滑らかさを想像する方が近いだろう。

こうして原料レベルのクオリティを厳選したことで、ウールウェアとして一つ先のステージへ。高級ハイゲージニットのようなアクティビティ用Tシャツだ。

 
〈Point 6 / アルパイン エクストラファイン メリノウールT〉¥11,000-

HERENESS / メリノ・エア・フーディ

ウールと聞くとニットを連想する人は多いが、HERENESSのメリノ・エア・フーディは、まさに目の粗いニットをアクティビティウェアへと昇華させている。

一般的にニットの暖かさは、太い糸を編み込んで凹凸のある組織を作り、そこにデッドエアと呼ばれる空気を溜め込むことで断熱性を高めるというもの。編み組織のためナチュラルな伸縮性があり、必然的に運動性は高い。

メリノ・エア・フーディも要するにそれ。高品質なウールと再生ポリエステル〈レニュー〉を組み合わせ、独特の凹凸を持つ立体的なかさの高い組織に編み上げている。

しかも特殊なニッティングマシーンを用い、ホールガーメントと呼ばれる、ひと連なりで一着の完成されたウェアへと編み立てる製法を採用。まったく縫製されていないため、着心地も極上だ。

アクティブ・インサレーションのように、アウターを羽織って風をシャットダウンすればしっかりと暖かく、アウターを脱いで活動するなら大きく通気するため負荷の高いアクティビティにも対応。故きをたずね、新しきを知ることで“走れるウールニット”が実現した。

〈HERENESS / メリノ・エア・フーディ〉¥19,800-

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