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ランニングというスポーツは不思議なもので、健康な人なら大概の人は走ったことがあるから、なんとなく“走るってこういうことでしょ”という固定観念を持っていたりする。大体は部活動の罰走や体育の授業のイメージを持っていて、苦しいとか、辛いというものに止まっている。かくいう自分もそうで、大人になって本格的にランニングに取り組むまでは、走ること=キツいことという決めつけをしていた。

ところが目標レースを設定して(2012年の千葉マリンハーフがデビュー戦だった)、それに向けてトレーニング計画を立ててもらい(ピリオダイゼーション=期分けという考え方もここではじめて知る)、自分の走力に合った練習を積み重ねていくことで、みるみるうちに速く、楽に、長い距離を走れるようになっていき、やがてランニングが大好きになった。つまり、ランニングは直感的なものではなく、合理的に練習に取り組むことで誰でも今以上に走力をあげることができるということを身を持って学んだ。

そんな時に手に取ったのがこの『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』だった。ランニングにハマると様々な本を手に取ったり、blogを掘ったりしながらランニングメソッドの迷宮に迷い込むことになる。その中で最もスタンダードで、初心者からプロアスリートまで一貫して活用できると感じたのがジャック・ダニエルズによるこの本だった。onyourmarkのblogにもダニエルズ理論を実践していた当時の記録が残っている。

マラソン・リベンジのツール『ダニエルズ理論』①
マラソン・リベンジのツール『ダニエルズ理論』②
マラソン・リベンジのツール、その結果は?

当然、自分のような市民ランナーだけでなく、エリートランナーもこの理論の恩恵に浴している。1983年にオリンピック女子初代マラソン金メダリストに輝いたジョーン・ベノイトもそのひとりだ。

もしトレーニング方法の優劣を持久力の獲得で判断するならば、ジャック・ダニエルズ氏は、ゆるぎない最高のスタンダードを確立したと言えるでしょう。私は今でも、彼から教わったシンプルなトレーニング法で練習をしています。彼がエクセター(ニューハンプシャー)にあるナイキ研究所で初めてのリサーチをした1980年のことですから、かれこれ24年間、彼に教わったとおりの練習をしていることになります。–『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』本書によせて ジョーン・ベノイト

このようにダニエルズ理論の要は、それぞれのランナーが自分の走力に見合った練習を組み立てることができるということだ。ジャック・ダニエルズ自身もこう書いている。

私がランニングに関する本を書いた主な目的は、ランニング用語と練習の種類をシンプルに整理し、初心者からエリートランナーに至るまで、いかなる種目のいかなるランナーでも、同じタイプのトレーニングを用いて練習できるようにすることである。–『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』まえがき

その基準となるのがVDOTという指標だ。自己ベストのタイムを当てはめると、自分の走力にあった練習ペースを割り出せるというもの。以下のサイトなどで自動計算できるのでぜひお試しを。

Jack Daniel’s VDOT Running Culculater

ダニエルズ理論は、汎用性が高い優れた理論というだけでなく、それまで先天的な能力ばかりで評価されてきたランニングというスポーツに努力という視点を持ち込むものだ。それぞれのランナーが与えられた才能だけで評価されるのではなく、自分に合ったトレーニングを積むことによって成長することができる。学校体育で絶対的な速さだけが指標となり、それぞれの生徒に合った適切なランニング・トレーニングが指導されてこなかったことで、走ることを嫌いになってしまったという人は多いだろう。

一方、ダニエルズの理論に従えば、自分に合ったメニューを割り出し、それをこなすことができるかどうかこそが大事になる。そしてそれができれば、必ず結果がついてくる。必ずしもランニングは絶対的な速さだけで測れるスポーツではない。自身の成長を楽しむ、その手段でもあるのだ。

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