スティーブ・ジョブズが禅瞑想の実践家だったことは有名だが、世界の名だたるリーダーたちもこぞって瞑想を導入し始めている。瞑想を取り入れたらどんな変化が得られるのか。日常生活で瞑想を実践する愛好家に、瞑想ビフォー・アフターをインタビュー。
初体験の瞑想で「マインドフルネス」の状態を体感
米・グーグル社の天才エンジニア、チャディー・メン・タン氏が開発した、マインドフルネスをベースにした研修プログラム「SIY(Search Inside Yourself)」を日本に持ってきて、体験会やセミナーなどでビジネスパーソンに提供している荻野淳也さん。
初めて瞑想を体験したのは2005年のこと。当時はスタートアップ企業で毎日18時間、仕事をしていたワーカホリック。半ば鬱状態に陥っていたある日、友人に誘われたヨガのレッスンで衝撃的な体験をする。
「クラスの中の30分ほどの瞑想で頭も気持ちもリラックス、思考もクリアになり、まさに『マインドフルネス』の状態を体感したのです」
続けるうちに鬱状態も解消し、メンタルもいい状態を保てるように。これこそ、今のビジネスシーンに必要なものだと直感した。
その後、ヨガスタジオ運営会社に転職。ヨガ・瞑想と人材育成を組み合わせたプログラムを開発して法人に売り込む仕事をしていたが、2013年に米・グーグルが瞑想を使った人材開発を行っていると聞き、渡米。
「『SIY 』は脳科学で検証済みの瞑想を用いて集中力、自己認識力、共感力等を養う、これからの企業人材に必要な方法論でした。『SIY』を日本で提供したいと、現地のCEOに直談判したのです」
セミナーや体験会では目を閉じて座る、いわゆる「瞑想」のほか、一切口を挟まず相手の話に耳を傾ける「マインドフルネス・リスニング」など様々なワークを行う。こうした一連のワークには自己認識力を高めてリーダーシップを向上させるほか、ストレスをやわらげて心身の健康に寄与する効果があるという。
プライベートでは呼吸に意識し気づきを養うマインドフルネス瞑想を日常的に実践するほか、座禅も行っている。自宅でもオフィスでも、都合のいい時間帯におよそ30分、静かに瞑想する。その効果だろうか、相手の話に素直に耳を傾けられるようになった。
「大切なのは座る時間を作ることではなく、日々、いかに目の前のことに集中するかということ。一瞬一瞬がマインドフルネスでのトレーニングなんです。好奇心を持って瞑想というトレーニングを楽しむ先に、マインドフルネスの状態があるのではないでしょうか」
※2016/4/15発売「mark06 理想の24時間」転載記事