感情や体調もコントロールできるように
18年前、通訳を生業にしつつ地球温暖化防止に取り組むNGOで活動していた中でヨガに出合ったという中島正明さん。
ヨガの教えに傾倒するうち、自然と瞑想にも興味を持ち取り組むようになった。
禅瞑想など伝統的な瞑想について学びを深めていったのは9年ほど前からで、以来、毎日朝夕と数時間の瞑想を実践している。
5時に起床、マッサージで身体をほぐしたら1時間ほど瞑想する。
その後、ヨガを1時間、最後にシャバーサナ(仰向けに横たわる休憩のポーズ)で身体を緩める。それが毎朝の日課だ。
朝夕合わせて1時間半の瞑想ではその時々の状態に合わせて様々な手法を組み合わせるが、慈悲の瞑想(自分や自分と近しい人々、そして生き物全ての幸せを願い、念じる瞑想)、サマタ瞑想(呼吸など、何か一点に集中する瞑想)、そしてヴィパッサナー瞑想(身体の感覚など、意識する対象が次々に移り変わるさまをただ観察する瞑想)を順に行うことが多い。
「瞑想は、目の前のことに集中し、目の前にある物事を的確に捉える練習。的確に捉えることができれば、問題が起こっても解決が容易になります。すなわち、幸せを感じやすくなるのです」
実際、瞑想を始めてからは感情に溺れることがなくなったばかりか、体調さえもコントロールできるようになってきた。「ちょっとした発熱くらいなら自分で解熱できる」というから驚きだ。
「座っていても歩いていても、食事をしていても、どこでも瞑想はできる」が持論で、ビギナーには左右の足の運びに集中して心を鎮める「歩行瞑想」をすすめる。
「足が離れた」→「足を前に移動する」→「地面に接触する」→「荷重により圧がかかっている」というように、足の運びの一つ一つを丁寧に確認しながら観察する。
意識の対象が次々に移り変わるので集中しやすいという。
「歩行瞑想をさらに簡易にすれば、毎日の生活に取り入れることもできます。例えば毎日10分間、『右』『左』『右』『左』と左右の足をラベリングしながら歩くだけでもいいのです。人ごみをかき分けたり誰かにぶつかられたり、意識がさまよいやすい街中で平静な心を保ちながらラベリング歩行するのはとてもいい訓練になりますよ」
※2016/4/15発売「mark06 理想の24時間」転載記事