『山と高原地図』には載らない、生活圏にあるローカルトレイルを紹介していく「地図にない道を走る」。第6回は福岡にある飯盛山、“おかず連峰”のトレイル。紹介者は地元福岡のトレイルコミュニティ活性にも尽力する石川博己さん。お気に入りのトレイルをたくさんの写真とともに解説付きでお届けします。
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今回トレイルを紹介してくれる石川博己さん
48歳のある日、メタボ(体重78kg)の診断を受けたことを機にランニングを始めたという石川博己さん。以降順調に体重を落とし、15kgの減量に成功。現在はフルマラソンやトレイルランニングレースなど、年間10レースは参戦するまでになりました。一方、ランニングメディア「7trails(セブントレイルズ)」や、ハイカーズコミュニティ「HAPPY HIKERS(ハッピーハイカーズ)」を仲間と共に運営するなど、コミュニティ活性の活動も行いながら、ランニングとアウトドアアクティビティをライフワークとする生活を送っています。現在は昨年延期となったUTMFへのチャレンジのため、目下奮闘中とのこと。家と事務所で猫を4匹飼う愛猫家でもあります。
飯盛山・おかず連峰トレイルの魅力とは!?
そんな石川さんが今回紹介してくれるのは福岡市内からほど近い飯盛山を巡るトレイル。「おかず連峰」という愛称をつけたそのコースにはどんな魅力があるのでしょうか?
「僕が練習でよく行くのは飯盛山(いいもりやま)です。シャリバテ(注:血糖値が下がって力が入らなくなること。登山用語として、ご飯[シャリ]が不足し、動けなくなる[バテる]ことから使われるようになった)しなさそうな名前(笑)で、実際にてんこ盛りのご飯のような形をしています。859年に創建された飯盛神社が鎮座する、ありがたいお山でもあるのですが、僕はこの飯盛山とそれに連なる周辺の山々(僕らは「おかず連峰」と呼んでいます)を繋いだコースを毎週のように走っています。今回はこの『飯盛山~おかず連峰』のコースをご紹介しましょう。
飯盛山は福岡県福岡市西区にあります。市内からのアクセスもよく、車がなくても公共交通機関を利用して30分ほどで登山口まで行けるほか、市内からロードで10km弱の距離なので、ロード+トレイルのミックス練として走って行くことも。僕がよくトレーニングとして利用するルートは、飯盛山(382m)、高地山(こうちやま・419m)、高祖山(たかすやま・416m)、鐘撞山(かねつきやま・314m)、叶岳(かのうだけ・341m)、高地山と周って飯盛山へ戻ってくる一周コース。これで距離15km・累積標高1,200m程度になります。
このコースは全般的に水捌けが良く、前日に雨が降ってもぬかるみません。その代わり、雨が川のように流れるので、ラン中の降雨には気をつけてください」
写真でめぐる飯盛山・おかず連峰コース紹介
ここからは写真とともに分岐となるポイントやビューポイントを石川さんに解説していただきます。早速チェックしていきましょう。
「起点となる飯盛山へは、飯盛中宮社の階段横の登山口から入ります。飯盛山の頂上まで約400mで累積標高320mほど。かなり急で、つい休みたくなる激坂です。
飯盛山の山頂は眺めが良く、夏になると心地よい風が吹き抜けます。飯盛神社の上宮跡(ほこら)に手を合わせ、走ることができる感謝を胸にして「おかず連峰」最初のピーク、高地山へ。高地山まではアップダウンの激しい杉の森のトレイルが続きます。
時折、木々の切れ間から景色も楽しめます。この辺りは道が細く、木の根が出ているところも多いので注意が必要。特に夏場はクモの巣が貼られていることが多いので、魔法の杖(と呼んでいる、拾った木の枝)で払いながら走ります。
高地山の分岐(ピークの横あたり)に出ると、休憩できるベンチやテーブルが。よくハイカーのおばちゃんたちが休んでいて、「足の筋肉すごいね~」と声をかけてきます。時には触られます(笑)。そこから時計回りに高祖山方面へ。
高地山からは走りやすいトレイルで高祖山へ。そこから鐘撞山へは、アップダウンはありますが、下り基調。登るパートも走れる人は走る斜度のトレイルで、この辺を走れると自信になります。
鐘撞山の頂上からは一気に下り。木の根が多くて引っかかりやすく、また秋冬は落ち葉が積もって滑りやすくこの辺りも注意が必要ですね。集落に出て、叶岳(叶獄登山口)まではロードを少し走ってつなぎます。
叶獄登山口の水場。このほか飯盛中宮社に水場があります。夏場は決まって全身水浴び(笑)。「おかず連峰」の麓には、今宿野外活動センターという公園があり、自動販売機も。整備された川で“ドボン”も可能です。いわばエイドステーション。テントサイトやバーベキュー施設があるのでキャンプもでき、一日中遊べるところです。
叶獄登山口から叶獄神社へ。この区間はStravaのセグメント(叶岳climb:距離1.17km 累積標高270m)もあります。かなり傾斜の厳しい登りで、この区間のピストンだけでも良い練習に。
叶岳から高地山までの区間は距離約5km、累積標高430mほど上がります。高地山の分岐まで戻ると、スタートから距離約11km・累積標高1,060mほどに。距離と累積標高がほぼ同じなので、厳し目のコースといえます。分岐からは飯盛山方面へ。飯盛山は、登りのルートとは異なる「あじさいの路」コースで下山します。こちらの方が距離は長くなりますが緩斜面のため、より安全に下ることができます。
飯盛中宮社に到着したら一周終了。総距離約15km・累積標高1,200m程度になります。高地山分岐から逆方向で回ると、斜度も変わって飽きません。このコースの魅力は、サーフェスのバリエーション、水捌けの良さ、水場が2か所確保できる安全性、眺望の良さです。走っていて気持ち良く、適度にハイカーの方とも会うので、一人で来ても安心です。ぜひ、全国のみなさん走りに来てみてください。もしも僕らを見かけた時には気軽に声をかけてくださいね。では!」