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ランナーに起こりやすいケガについて学ぶ「OYM ランニング障害学習講座」。今回は発症すると歩くのもままならないと噂の足底腱膜炎です。足の裏のケアって何をすれば良い? 痛む原因から予防法、治療法までしっかりとインプットしよう!

足底腱膜炎とは?

足底には、踵の骨から指の付け根にかけて強靭な腱の膜が広がっています。これが足底腱膜(そくていけんまく)です。足底腱膜炎はその腱膜に炎症が起き、足裏に突き刺すような痛みが生じる疾患です。

初期段階では朝起きて動き出す一歩目に痛みを感じやすいという特徴がありますが、悪化すると歩行中の足から地面が離れる瞬間や階段の上り下りなどでも痛みを感じるようになり、日常生活に支障をきたすことがあります。

足の指を反らせた際にピリピリとした痛みを感じたり、手で足裏を押して違和感を感じるようであれば、足底腱膜炎が疑われます。

痛みが生じる原因は?

考えられる主な原因は2つ。まずランニングを始めてまもない初心者の場合は、土踏まず周辺の筋肉がまだ出来上がっていない可能性が高いといえます。

そもそも足底腱膜は走行中の着地衝撃を軽減するバネのような働きを担っていますが、足の筋肉が未発達のところに強い圧力がかかり続けることで、足底腱膜に小さな断裂や炎症が起こるのです。徐々に走力をつけて走る動きに慣れてくると、痛みも軽減されるはずです。

もうひとつの原因は、シューズの問題。土踏まず周辺の筋肉は足指の筋肉とつながっているため、サイズが合わないシューズを履いていると足指の動きを妨げることになり、土踏まず周辺の筋肉が硬まってしまいます。始めてランニングシューズを選ぶ際には、足指に多少余裕のあるものを選ぶといいでしょう。

女性でパンプスやハイヒールなど足先の細い靴をよく履く人も、足裏の痛みに悩まされることがあります。自宅やオフィスではできるだけ足指を解放してあげることが大切です。

足底腱膜炎の治療法

足底腱膜炎はオーバーワークが原因のため、痛みが出たらまずは安静に。セルフケアとしては、ゴルフボールを床において土踏まずのあたりで踏みつけ、ボールを転がすようにマッサージをするのもいいでしょう。また、足の指でグー・パー、を繰り返すことで、足裏の筋肉のこわばりを和らげることもできます。

ただし痛みが長期化している場合や痛みがひどい場合には、専門家の施術を受けることをオススメします。人によって異なる足の形状や動作の癖、姿勢などから原因を探り、痛みを根本から治療できるためです。

足底腱膜炎の予防法

日頃から足裏を気にかけているという人は少ないかもしれません。ゆえに、予期せず突然痛みが出るケースも。ただし足底腱膜炎は、ストレッチやマッサージなどで普段から筋肉のケアをこまめに続けることで予防できる疾患です。ランニング前後にストレッチをする際に、足裏も伸ばす習慣をつけましょう。

ストレッチと併せて取り組みたい、予防・再発を防止策は以下の3つ。
① 練習量を見極め、追い込みすぎていると感じたらコントロールする。
② クッション性があり、かつ自分に合うシューズを選ぶ。
③ 床にタオルを広げ、足指だけで手繰り寄せるタオルギャザリングで筋肉を補強する。

初心者のうちから足裏ケアを心がけることで、不快な痛みに悩まされることなくランニングを楽しむことができます。

万が一痛みが発症した場合でも、安静とセルフケアで治りやすい足底腱膜炎。つい見落としてしまいがちな足裏をこまめにケアし、痛み知らずの足を作りましょう。

監修者:古川ぶんと

監修者:古川ぶんと

東京・杉並区にあるランニング障害専門『ソフィア整骨院』院長。2012年の東京マラソンでフルマラソンデビュー。以来ランニングに魅了され、現在までにハーフマラソン、ウルトラマラソン含め30以上のレースを完走。経験を生かした診療で、多くのランナーから支持を得ている。自己ベストは3時間5分。