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〈B Corp〉という言葉を聞いたことがありますか?

端的に言えばそれは、“良い会社”の世界基準を満たした企業のこと。具体的には〈Patagonia〉〈Allbirds〉〈BURTON〉といったmark読者にお馴染みの環境に配慮した企業から、〈DANONE〉〈Unilever〉といった食品、消費材の世界的大企業までが名を連ねています。

では、何をもって“良い会社”と判断するのか?その基準を作ったのが〈B Lab〉という非営利団体です。〈AND1〉というバスケットシューズとアパレルのブランドを立ち上げて、社会にプラスの影響を与える経営を模索していたバート・ホウラハンとジェイ・コーエン・ギルバートのふたりは、ビジネスを2億5000万ドルまで成長させて売却しました。しかし、新しいオーナーの下では“社会的責任を果たす”という哲学が受け継がれることはなかったといいます。では、企業が永続的に社会的責任を果たすことを可能にするにはどうすれば良いのかと考えた時に、金融業界で資本主義の別の形を模索していたアンドリュー・カッソイと共に考案したのが〈B Corp〉認証制度だったのです。

「そして我々はすぐに気づきました。経営者自身、投資家、消費者、会社で働く人々など、あらゆる利害関係者にとって、会社が社会にプラスの影響を与え、それが有意義で永続的な方法で実現できているかを把握できるような包括的な市場構造がこの世には存在していないと。そこで、資本主義が株主だけでなくすべての利害関係者に対して価値を創造できるようなシステムの変革にフォーカスした組織を立ち上げようという考えに至ったのです」-アンドリュー・カッソイ(「B Labの目指す経済システム変革」より)

企業は株主だけのものではなく、そこに関わるすべての利害関係者(ステークホルダー)のものだと考え、評価制度を作ること。ステークホルダーの中には従業員のような人だけでなく、地球環境も含まれます。地球環境が保全されていなければ企業も存続できないからです。こうして彼らが作った「ガバナンス」「従業員」「コミュニティ」「環境」「顧客」に関する200項目以上にのぼる基準に従って会社を採点し、ある点数以上であれば〈B Corp〉として認証されるのです。✳︎BIA(B IMPACT ASSESMENT)と呼ばれるこの評価基準については、項目ごとに連載で紹介する予定。まず第一回は、多くの人にとっての関心事である「従業員」を取り上げました。

単なる認証制度がなぜ世界を変えるポテンシャルを持っていると言えるのか?それはこの認証制度が、問題を抱えている現代の資本主義を再構築する指針となるかもしれないからです。

資本主義はこれまで概ね有効に機能してきたということもできます。世界の人口を増やし、平均寿命を伸ばすことができたのは、資本主義の持つ力の賜物に他ならないでしょう。一方で、エネルギーの枯渇や環境への影響、格差の拡大と言った数々の問題も孕んでいることが明らかになってきています。

現状の資本主義は、資本の論理=株主の意向によって会社が方向づけられている“株主資本主義”が一般化しています。そこで評価されるのは、“利益率や成長率”という単一的なモノサシです。この社会に問題を感じる人たちが増えてきているにも関わらず、それでも改善することが難しいのは“利益率や成長率”に代る、あるいはそれを補助する適切なモノサシがないからなのではないでしょうか。人は適切なモノサシ=評価制度があれば頑張れるものです。いま必要とされる新しいモノサシを用意し、それが世界的なコンセンサスになったなら、つまり方向性さえ示されれば、世界は大きく変わる可能性を秘めています。

〈B Corp〉は利益の追求を否定するものではありません。株主の権利を否定するものでもないのです。穏健でありながら革命的な、そして何よりもヒップなポスト資本主義の可能性の有力な候補なのです。

〈mark〉を運営するわたしたち株式会社アルティコも〈B Corp〉を目指してアセスメントを始めました(こちらの記事『〈B Corp〉認証を目指します!』で詳しくお話ししています)。それは簡単な道のりではありませんし、認証が取れるかどうかもわかりません。しかし、BIA(B IMPACT ASSESMENT)を理解し、そこに少しでも近づく努力をすることは、社会的責任を果たす企業になるための明確な灯火となると感じています。

mark編集長 松田正臣

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