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効果的なトレーニングをするには、まず自分を知ることから。
自分の身体能力を客観的に測って、弱い部分を強化するためのトレーニングを紹介する「大人の体力測定」。第二回目は広背筋に注目しました。

テーマ:上半身のバランスを司る、広背筋の重要性
用意するもの:足のしっかりした大きめのテーブル

①テーブルの下に仰向けで入り、テーブルの端をつかんでぶら下がる。持つ位置は肩幅
 の1.5倍程度にする。
②腰が折れてお尻が下がらないように姿勢を維持したまま、懸垂の要領で体を引き上げる。
③どこまで体を引き上げられるかで広背筋の強さを測定する。

測定方法の注意点
①5秒間静止
 勢いをつけて引き上げるのではなく、5秒間止めていられる所がどこかを測定する。
②お尻を落とさない
 腰が折れてお尻が下に落ちると非常に楽な動作となってしまい、広背筋の引き付け
 能力の測定になりません。
③手の幅を狭くしない
 手の幅が狭いと、腕力でひきつける動作になってしまい、やはり広背筋の筋力測定と
 しては不適切となります。
 あくまでも、肩幅の1.5倍にして引きつけた時の測定が必要になります。

測定結果の判断
テーブルの下面と、胸との距離で判断します。

ほとんど引き上げられない             → 非常に問題あり 要注意
引き上げられるが、胸がテーブル下面につかない   → 問題あり
テーブル下面に胸がつくが、その状態を維持できない → 良好
テーブル下面に胸がつき、それを5秒間維持できる  → 非常に良好

広背筋は鍛えなくてもOK?

鍛え上げられた逆三角形の身体は、男が憧れる肉体の代名詞—–。
なんていう言い回しを聞くことも、最近は少なくなった気がしますが、この逆三角形をつくる筋肉が、今回測定する広背筋、いわゆる背中の筋肉のことです。

人の筋は使った分だけ発達するので、非常に厳しいトレーニングをすればボディービルダーのような逆三角形の背中にもなるし、強度をコントロールすればアンジェリーナジョリーのようなスタイリッシュな背中にもなることができます。
しかし、現代の生活ではこの広背筋が使用される環境が少なく、全身の筋の中でも、特に広背筋の弱化が目立っていると言われています。要するにストンと真っ直ぐで、逆三角ではない背中です。
「まぁ、ファッション的にも細身のスーツが主流だし、背中が大きいと着られないブランドもあるくらいから問題ないんじゃないの〜」と思うあなたは、ちょっと待って!
広背筋の機能低下は、姿勢の悪さの原因ともなっているのです。

広背筋の低下は猫背や肩こりの原因に

少し詳しく見てみましょう。
広背筋は腰椎と上腕骨を結ぶ筋のこと。肩関節の内転、すなわち肘を腰椎に引き寄せるような動きをさせる働きをする筋のことです。ジムの筋力マシンで言うと、ラットプルダウンで動かす部分と言えばわかりやすいでしょうか。(ラット(Lat)は、Latissimus dorsi musleの短縮形、日本語にすればまさに広背筋ということです)
広背筋の機能が低いと、腕を背骨側すなわち後方に引っ張る姿勢になりにくく、いわゆる猫背の姿勢になりがちに。また、広背筋の機能が低いと、腕が骨盤方向に引っ張られなくなるため、肩が上がりがちになり、いわゆる肩こり姿勢の原因にもなるそうです。
測定結果が思わしくなかったあなた、次の改善エクササイズに挑戦してみてください。

改善エクササイズ

問題ありの結果となった場合には以下のエクササイズで広背筋の筋力を向上させましょう。

①ななめ懸垂(測定の動作そのもの)
 
 反動をつけずに可能なだけ引き上げる。
 できれば2秒で引き上げ、3秒かけてゆっくり降ろす。
 10回 × 3セット で効果が高まる。 

②エルボウチェアプッシュ

 二つの椅子の間に座り、座面に肘を乗せる。
 お尻を高く上げる事を意識しながら肘で椅子の座面を押し、体を上に押し上げるようにする。
 一気に押し上げ、3秒かけてゆっくり降ろす。
 10回 × 3セットで効果が高まる。 

                
使った筋肉はストレッチが重要

筋肉は使ったあとは縮んだままになりがちで、そのまま放置すると柔軟性が低下することにつながります。使った広背筋は必ずストレッチしてください。

 椅子に座り、右足を横に流す(単なるストッパーの役目)。
 右手で左手首をつかみ、バンザイをした状態から右手で左手首を右に引っ張るようにして体を右に倒す。
 この時、左肘をできるだけ高い位置にキープする事が重要。
 30秒キープしたら、反対側も同様に行う。

あらゆるスポーツに関わる広背筋

広背筋はからだの裏側にあり、自分では目が届きにくい筋肉。けれども運動をするときに上半身のバランスを保つ大事な役割を担っています。 そのため、あらゆるスポーツにおいて重要視される筋肉です。広背筋を鍛えてみなさんの取り組むスポーツのパフォーマンス向上に役立ててください。

(監修 清水忍/イラスト atsushi ave)

【大人の体力測定アーカイブ】
#01 ハムストリングスの柔軟性
#02 上半身のバランスを司る広背筋の重要性
#03 身体のコントロール能力を確かめよう
#04 パフォーマンス向上&肩こり解消にも!肩周りの柔軟性
#05 体力低下は脚筋力低下から始まる
#06 姿勢の維持に大きな役目を果たす腹筋力の測定
#07 憧れの開脚!横開脚の柔軟性
#08 人は常に姿勢が崩れてる?バランスと調整力
#09 その場足踏みで、骨盤のねじれを自覚しよう
#10 体幹を鍛えるだけでは意味がない?体幹連動性の測定
#11 ここが硬い人は要注意!前ももの柔軟性
#12 スポーツしている人ほど硬くなる? 股関節外旋の柔軟性
#13 イチロー選手への第一歩!? 股関節内旋の柔軟性

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