身体を占める体液は、大きく「細胞外液」と「細胞内液」の2つに分けられる。
汗、尿、消化液、鼻水、涙、血液など主に体外へと出ていく細胞外液が栄養素や酸素の運搬、老廃物の排出などの役割を担っている一方で、細胞内液は主にエネルギー産生やタンパク質の合成といった代謝に関与している。
つまりこの細胞内液が減少すると、エネルギーを効率的に生み出すことができず、パフォーマンスの低下の原因につながることになる。
ランナーは、いかに細胞内液を減らさずに水分補給をできるかがキーとなる。
身体の水分バランスを保つ水分補給方法であるウォーターローディングがここ最近の主流だが、細胞内液にアプローチする手段としては、グリセリンローディングが有効だとされている。
「細胞内に取り込まれたグリセリンは、水を引き込む性質を持っています。グリセリンローディングとはこれを利用した水分補給法で、グリセリンを薄めた水分を摂取することで、細胞内に水分を長時間保持させることが可能になります。どのくらいのグリセリン濃度でどのように摂取することが効果的なのかを検証した結果、レース前日から1g 程度を500ml程度の水分に溶かしたものを摂取し、レース中も同等量の水分を摂取しながら走るのが効果的であると考えています。注意点として、自作する場合、分量を誤ると、お腹がゆるくなったり、腹痛を起こしたり、尿量が極端に増えたりする場合があります。お気をつけください」(合同会社SUN・PLUS代表社員の高野さん)
参考文献:「中長距離ランナーの化学的トレーニング」